放射線疫学に関して、ここまでに書いたものを整理
*typoやリンク修正、追加などは断り無しに適宜行う。
・下記の論点の多くを含むもの*typoやリンク修正、追加などは断り無しに適宜行う。
- 濱岡豊(2015)”広島、長崎、ハンフォード、そして福島:低線量被曝研究のための批判的レビューと再分析 ”「第5回市民科学者国際会議」,9月21日、国立オリンピック記念青少年総合センター csrp.jp/wp-content/themes/csrp2015/images/day2_hamaoka_j.pdf
- 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議中間とりまとめへのパブコメ
- 放射線の健康影響についての情報提供
- UNSCEAR福島レポート本編へのコメント
- 放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップ のとりまとめについて
- 帰還に向けた安全、安心委員会配付資料の問題点
・原爆被爆者分析の問題点について
最も重要なデータとされるが、不適切な分析がされていることを指摘。
- 濱岡豊(2015)「広島・長崎原爆被爆者データの再分析」『科学(岩波書店)』, Vol.85, No.9, pp.875-888 サポートページ(参考文献リンクなど
- 100mSvを越えると有意になるというが、サンプルを低線量に限定して検定力を落とした不適切な分析による。また、複数の関数型を想定しているが、それらから最良のモデルが選択されていないという問題、個人レベルのデータを集計して情報を捨てているという問題もある。
- LSS14データを再分析することによって、線形もしくは閾値があったとしても数十mSvであること、データを集計することによって検定力が低下することなどを示したもの。
- LSS(Life Span Study) 13報 被爆者データのRによる分析
- 一つ古いデータでの実行例
がんに注目されるが、その前段階である結節にも注目して、「1巡目」の市町村レベルの公開データで分析。小さい結節、大きい結節については被曝量(UNSCEAR)と相関があることを示した。甲状腺「がん」の発症については、地域差がないという説が述べられているが、結節についてはそうではないことを示した。
- 濱岡豊(2015)「放射線被曝と甲状腺結節 関連研究のサーベイと福島甲状腺検査の分析」『科学(岩波書店)』, Vol.85, No.6, pp.586-595
- Hamaoka, Yutaka (2013)"A Possible Warning from Fukushima : A Preliminary Analysis of Radiation Dose and Occurrence of Thyroid Nodules Using City- and Village-level Data," MELODI 2013 Workshop , Brussels,Belgium, Oct. 8, 2013, (abstract accepted for Oral Presentation) (プレゼンテーション資料) (posterはここから) 2013年時点での分析。
- 福島県甲状腺検査についての分析3
- 福島甲状腺調査の分析2 上記MELODI2013の解説
- 福島県健康調査 甲状腺調査 について 市町村レベルでの分析 (2013/10/25若干改訂
- Hamaoka, Yutaka (2017)"Thyroid Nodules in Fukushima," IAE 2017, Saitama, Aug. 19-22, 201
- 同様の分析を行い、2巡目のがんについて「基本調査」での外部線量が有意となることを示した。
- 参考)秋葉氏らの論文
- Thyroid nodule prevalence among young residents in the evacuation area after fukushima daiichi nuclear accident
- 濱岡のMELODI2013の報告結果を確認するために秋葉氏らが行った分析。避難、非避難地域に2分、3県調査をベースラインとして結節の期待数を計算。比較したところ、1巡目、2巡目とも小結節は避難地域の方が有意に多く、2巡目では大きい結節も避難地域の方が多いことを示した。
・甲状腺検査を巡る諸問題
福島医大によって書かれている論文をみると、地域差がないとしているが、被曝量の異なる市町村を混ぜており不適切な地域区分。がんだと0.03%オーダー。これの地域差を議論するには検定力が不足していることなどの問題点を指摘。
- 濱岡豊(2016)「福島県における甲状腺検査の諸問題」『科学(岩波書店)』, Vol.86, No.11, pp.1090-1101 (下記3件の日本語版+α)
- Hamaoka, Yutaka(2017) "Re: “Comprehensive Survey Results of Childhood Thyroid Ultrasound Examinations in Fukushima in the First Four Years After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident” by Suzuki et al. (Thyroid 2016;26:843–851)," Thyroid. August 2017, 27(8), 1105-1106. doi 査読付きレター有料 (Suzuki et al.のペーパーへのコメント)
- Hamaoka, Yutaka(2016) "Comment on " Comparison of childhood thyroid cancer in Fukushima," Medicine, オープン (Ohira et al.の論文へのコメント)
- Hamaoka, Yutaka(2017) "Re: Thyroid Cancer among Young People in Fukushima," Epidemiology, doi: 10.1097/EDE.0000000000000569 オープン (Takahashi et al.のレターへのコメント) (Tsuda et al.のペーパー
- 福島甲状腺検査について
- 放散線医学県民健康管理センターへのメール
- 濱岡豊(2017)「甲状腺がん過剰診断論の限界」『科学(岩波書店)』, Vol.87, No.7, pp.667-680 サポートページ:グラフの訂正も
過剰診断論の前提となっている、死亡率が低下しないという点について、日米のデータをみるとそのようにはなっていないことを紹介。検査がストレスというが、それについてのエビデンスがないことなどを指摘。
参考 togetter 第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議の提言書に関するQ&A
・米国核施設従業員データの再分析
100mSv閾値説の根源と考えられる原爆データ分析の問題点は上述の通り。放射線疫学に関する研究をレビュー。100mSv以下でも有意となるものが多くあることを紹介。ただし、これらの多くも個人レベルデータを集計して検定力を落としているという問題がある。公開されている米国のデータを再分析、集計データでは検出されなかった放射線の影響が、個人レベルのデータを用いると有意になることを示した。
- 濱岡豊(2016)「原子力施設従業員長期被曝データ分析の動向」『科学(岩波書店)』, Vol.86, No.3, pp.258-263
- レビュー
- 濱岡豊(2015)「長期低線量被曝研究からの知見・課題と再分析」『科学(岩波書店)』, Vol.85, No.10, pp.985-1006
- 濱岡による米国核施設従業員の再分析を含む。→集計データでは検出されなかった放射線の影響が、個人レベルのデータを用いると有意になることを示した。
- Hamaoka, Yutaka (2013)"It is time to say goodbye to Poisson Regression," MELODI 2013Workshop , Brussels,Belgium, Oct. 7-10, 2013, (abstract accepted for poster) (posterはここから) 上記のロジットモデル版までの結果
・低線量被曝関連研究のサーベイなど
100mSv閾値説の根源と考えられる原爆データ分析の問題点は上述の通り。放射線疫学に関する研究をレビュー。100mSv以下でも有意となるものが多くあることを紹介。ただし、これらの多くも個人レベルデータを集計して検定力を落としているという問題がある。
- 濱岡豊(2016)「原子力施設従業員長期被曝データ分析の動向」『科学(岩波書店)』, Vol.86, No.3, pp.258-263
・放射線生物学データの再分析
閾値がある、ホルミシス効果などが主張されている放射線生物学における論文の問題点を指摘。再分析することによって、そうではないことを示した。
- Hamaoka, Yutaka (2015)"Re-Analysis of Radiation Biological Data: Are There Threshold and/or Hormesis Effect?," 2015 International Conference on Radiation Research, Kyoto: Japan, May 19-22, 2015,
・その他
- Hamaoka, Yutaka(2016) "Comment on “The Birth of the Illegitimate Linear No-threshold Model: An Invalid Paradigm for Estimating Risk Following Low-dose Radiation Exposure”, American Journal of Clinical Oncology, Vol. 39, No. 4, pp.424–425, doi: 10.1097/COC.0000000000000287 有料 (Siegel et al.の論文へのコメント)
・情報源など
・Togetterなど
LNT仮説?検定に関わる諸問題(Togetter)