2013年1月27日日曜日


2013/1/27送信。締め切りは2013/1/28
ほぼ同内容で数字を変更したものも同日、

それぞれ下記の資料は必見
・関西電力
別紙4:電気料金の値上げ申請について(PDF形式:564KB)
別紙5:料金算定の前提となる需給関係資料(PDF形式:1,479KB)

別紙6:経営効率化の取組みについて(PDF形式:1,651KB)

・九州電力

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以下の理由から値上げには反対する。
 ページ番号は「別紙4:電気料金の値上げ申請について」におけるものである。
→案件によって違うようで、このパブコメは2000字以内なので主要部分は1回で投稿可能。


1)コスト改善努力の不足
 各種コストを削減するとあるが、大きく低下したのは、核燃料費、資本費、原子力バックエンドなど、原子力関連。これらは止めているのだからあたりまえ。原子力をやめれば、これらはそもそも激減できるはず。逆に2基半年しか稼働していないのに、核燃料費、バックエンドを前回の半分も見積もっているのは明らかにおかしい。また、電源開発促進費も相変わらず559億円を見込んでいる。これらは脱原発で0、少なくとも稼働実態に応じて見直すべきである(これで100+300+600=1000億は削減可能である)。
 人員数も減少しておらず、給与も過大に見積もっている。 国税庁民間給与の実態調査では製造業400万程度となっている。それら程度に引き下げるべき。また、健保保険料も負担率が高すぎる。
 原油価格があがったことが示されているが、LNGなどは低下している(できる)。購入条件の明示、その改善をすべき。
2)財務的な余裕
 過去の損益計算書をみると毎年、1000億以上の最終利益を確保。財務諸表 H23度末時点で 流動資産だけでも4530億円もあり、数年は現在の価格で事業は行える。
3)経営者の責任
 P/LをみるとH9から一貫して減価償却費、設備投資は減少、核燃料は増加している。このように、原子力への過度の依存、火力設備の更新の遅滞を招いた経営者には大きな責任がある。まずは経営者が責任をとって辞職すべきである。特に、原発にはリスクがあることがわかっているにも係わらず、原発依存を進めようとする姿勢は許しがたい。
4)情報開示、根拠の不足
 燃料費の購入方法、条件、単価など、細目情報が公開されていない。諸経費(広告など)はp.4より2057億だが、300億円程度しか削減されていない。広告、寄付先を明示すべきである。不要なものは当然ゼロにすべきである。寄付金は原発立地地域へのものも含まれる可能性がある。寄贈先を明示すべきである。
 これら公開されていない情報が多く、検討に値しない。まずは必要な情報を公開すべきである。
5)考えるべき方策
 p.8 燃料費 石炭系、ガス系の燃料費が低くなっておりこれらの活用を図るべき。p.5「卸電力取引所から安価な電力購入を行うことによる燃料費削減等」と他社発電の方が効率的であることを自ら認めている。さらに、自社の石油系単価14.9は、他社購入10.22円よりも高くなっている。自社で発電するよりは購入した方がよいだろう。送電に事業を限定してはどうか。



以下、補足-------------

1)コスト改善努力の不足 の詳細
 各種コストを削減するとあるが、大きく低下したのは、核燃料費、資本費、原子力バックエンドなど、原子力関連。これらは止めているのだからあたりまえ。原子力をやめれば、これらはそもそも激減できるはず。逆に2基半年しか稼働していないのに、核燃料費、バックエンドを前回の半分も見積もっているのは明らかにおかしい。これらは実態に応じて見直すべきである(これで100+300=400億は削減)。
 人員数も減少しておらず、給与も (国税庁 民間給与の実態調査 第2表 給与所得者数・給与額・源泉徴収義務者数)によると電気・ガス・熱供給・水道業 750万円と、すべての業種の中で突出して高い。
 (参考) 建設 430万円、製造業450万円など
 勤続年数などの差があるにしても、これだけの差は認めがたい。提示してある664万円としても、これを製造業並みにすることによって、一人あたり200万円減少。従業員も2割減少させることによって、 200万円*2000=40億円は削減できる。

p.9 修繕費
 原子力が640億円と大部分を占める。再稼働をあきらめれば、これはほぼなくなる。火力についても新規設置をすすめれば、これよりも長期的には低下できる。
・原料調達方法の改善
 原油価格があがったことが示されているが、lngなどは低下している(できる)。購入条件の明示、その改善をすべき。
・健保保険料  負担割合は他者同様 50%に下げる。→30億程度は削減可能
p.15 普及開発関係は不要。研究開発も過去において大した成果はないので、これも不要であろう。
 委託費の内訳を明示すべき。
p.16 研究はするのであれば、電中研でおこなう。自社では、研究能力がないことはわかっているはずである。 
 電源開発促進費  559億円


5)考えるべき方策 の補足
・料金算定の前提となる需給関係資料について
 p,2 最大電力見通し h24実績に対して h25 2696kwと過大な見通し
 なお、http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0907_1j_01.pdf によると最大は 8/42682である。

・p.4 ポイント
 新規電源 火力の増強、効率改善を行うべきである。
 原子力 7月に基準が決定しても審査には時間がかかる。高浜は稼働できない。
 他社電源 神戸製鋼の発電所にみられるように、関西電力よりも高効率、低価格、都市部立地可能な業者は多数存在する。それらの火力事業参入、購入を進めるべきである。




情報源
関西電力株式会社の電気料金値上げ認可申請を受理しました
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121126005/20121126005.html

別紙4:電気料金の値上げ申請について(PDF形式:564KB)

関西電力財務諸表 H8以降の時系列(エクセルデータ)
http://www1.kepco.co.jp/ir/download/index.html
同 有価証券報告書 
http://www1.kepco.co.jp/ir/securities/index.html
 上は数字だけだが、それなりに説明がある。

2013年1月18日金曜日


特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第十一条第三項の単位数量当たりの第一種最終処分業務に必要な金額及び同法第十一条の二第三項の単位数量当たりの第二種最終処分業務に必要な金額を定める省令の一部を改正する省令案に対する意見公募



  への意見 2013/1/18送信(締めきりは2013/1/18。半角があると受け付けられないのですべて全角に変換:995文字)



1.実績に応じた算定
 特定放射性廃棄物の実績が示されていない。そもそも再処理自体が進んでいないためと考える。例えば、
 特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画 (H20閣議決定)をみても、下記のように1,551本にすぎない。

(5) これまでの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再 処理等を行った後に生じた第一種特定放射性廃棄物の国内での貯 蔵量は、平成19年3月31日時点で、1,551本である。

2.金利、単価など
 割引率 ここ5年間の中でもっとも高い金利をとっている。これによって、費用が過小に見積もられている。また、上述のように、これまでに処理されていない廃棄物の量は想定を大きく上回っているはずであり、さらに費用は増大すると考えられる。

3.現実的な値を
 毎年1100tという前提は上にあるようにこれまでも、また今後も、非現実的である。実現性のない見込み計画ではなく、運転実績に応じて納付させるべきである。H23-H24については当然、処理量も減り、拠出金も減らすべきである。
 そうすると、原子力発電が経済的に成立しないことは一層明らかになる。

4.前提の変更にともなう根本的検討
 2012年エネルギー環境会議の結果を受けた閣議決定により、2030年代には原発ゼロをめざすことが決定された。前提自体が大きく変化した。少なくとも下記の点を踏まえて、この法律自体の廃止、改訂を行うべきである。
○技術的可能性
 残念ながら再処理システム自体、トラブル続きで実現していない。また、国内には数万年も安定して地層処理可能な場所は存在しない。地層処理という選択肢はあり得ない。
○社会的可能性
 万が一あったとしても、それを受け入れる地域はないだろう。廃炉した原子炉に乾式保管するしかない。
○経済的可能性/妥当性
 技術的に実現不可能なので経済的な可能性を検討する意味もないが、処理のための費用を減少させるインセンティブを電力会社にもたせるために、この積立金は包括原価からはずすべきである。
 また、NUMO自体年間30億円の費用を使っているが、成果もない。技術開発は岐阜、北海道のセンターに集約すべきである。また、広報活動なども行っているが、立候補地も得られず成果もない。また、資金管理は別の組織がおこなうという二重行政である。この組織自体、廃止すべきである。

2013年1月15日火曜日

北海道の(超簡易)電力需要分析

 昨年夏には東京電力の需給分析を行った。北海道電力については、同様のデータが入手可能なので、分析してみる。東京電力についてはnonuke2011: 電力需給2009-11について  (2011/7/14現在のデータに基づく) を参照。


1.データ
下記の二つのデータを用いて、北海道電力の需給状況をみてみる。
(1)北海道電力 過去の電力使用状況データ   
 2009年以降の365日×24時間毎の需給実績
 1976年以降の各地の365日×24時間毎 の気象データ
(2)については札幌を指定。24時間毎のデータも入手可能だが、指定するのが面倒なので、1日毎のデータを用いる。
(1)(2)とも2009/7/1-2012/10の期間を分析対象とする。


2.概況
 上記期間での各年の最大需要電力量(ピーク電力需要量 万kW)は下記の通り。

 北海道電力の場合、以下のように冬期の夕方に生じている。
2009/12/21 17:00  Mon     565.6 
2010/2/5 17:00  Fri       568.6 
2011/1/12 17:00  Wed     578.8 
2012/2/2 17:00   Thu    568.4 


 これに対して、東電では下記のように夏の昼間に生じている。北電の電力需要量は東電の1/10程度である。

 2009/7/30 Thu 14:00       5450
 2010/7/23 Fri   14:00       5999
 2011/2/14 Mon 17:00       5150


・需要量の多い時間帯
 上述の最大需要発生日について、時間帯別の需要量をまとめた。北電では、15-18時ごろにピークがあることがわかる。東京電力については、昼間にピークがあり、北電と比べるとボトムとピークで需要量が2倍程度異なっている。これに対して北電はピークはあるものの、東電と比べるとボトムとピークの差は小さくなっている。これは、夜間でも暖房維持などのために利用されているためと考えられる。
図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量(北海道電力:冬期)


図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量(東京電力:夏期)


 ・気温と電力需要
 北海道電力について、3年間の気温と電力需要の関係をプロットした。明らかに気温が下がると需要量が増加していることがわかる。→暖房に電気を用いるのは無駄
 原発では発生した熱の4割程度しか電気に変換できない。つまり、6割の熱は捨てている。送電によるロスもある。火力発電所でも65%程度の効率。熱と電気の供給を組み合わせたコジェネなどを推進すべき。
図 気温(赤)と電力需要(黒)の関係(北海道電力)

 各日について、最高気温と最高需要電力量をプロット、年によって色分けした。各年とも15度を境にしたV字カーブ。夏は冷房、冬は暖房用に電力が消費されていることが推察できる。
 北電についてみると、高温度側については、需給電力量が低くなっており節電がきいていることがわかる。一方、低温側については低下しておらず、節電されていないことがわかる。
参考までに東電も示した。北電と比べるとカーブが急であることがわかる。

図 最高気温と最高需給電力量(北海道電力)




図 最高気温と最高需給電力量(東京電力:2011年は7月までのデータ)


3.北電冬期の電力需要量の推定
 上記のように夏と冬では電力の消費パターンが異なるので、2009,10,11年の11月から2月のデータを用いて、各日の最大需要電力を説明するモデルを推定する。前述のように電力量は1時間毎の値が得られているが、気象データについては1日の平均、最高などしか入手していない。このため、各日の最大電力を従属変数とする。現在、供給量が十分かが問題なので、ピーク電力量の規定要因を分析することには重要な意味がある。

・各種の要因が作用すると考えられるが、入手もしくは予想値を設定しやすい変数を用いることとする。
 気象データ  最低気温、風速、積雪量
 暦データ   年、月、曜日 2011/3/11後 ダミー変数
 
・結果
 モデルのあてはまりは、修正R2=0.847と単純なモデルにしては良好。下が推定結果。統計的に0でない(0という帰無仮説が棄却された)係数には*がついている。
 最低気温が1度下がると電力需要量は3.38万kW増加する(最低気温はマイナスなので、マイナスの係数を乗じると需要量は+)。
 積雪が1cm増加すると1.00万kW増加。
 3/11の震災以降平均して電力需要は8.88万kW減少している。
 1月を基準とすると、2月は需要量が6.8万kW増加。
 日曜を基準にすると、平日は需要量が増加。特に木曜は32万kW増加。
 時間帯では16時が+64万kw。
  参考までに東電は1度気温が上がると電力需要量は90.75万kW増加。

表 最大需要電力量についての回帰分析の結果

  推定値 標準誤差 t値 p値 有意水準
切片 426.18 7.62 55.90 0.00 ***
最低気温 -3.38 0.20 -17.28 0.00 ***
積雪量 1.10 0.14 7.97 0.00 ***
2011/3/11以降ダミー -8.88 2.61 -3.40 0.00 ***
2010年ダミー[2009年基準) 2.29 1.56 1.48 0.14
2011年 4.98 2.26 2.21 0.03 **
2012年 7.55 3.34 2.26 0.02 **
2月ダミー(1月基準) 6.78 2.08 3.26 0.00 ***
3月 -12.34 2.32 -5.31 0.00 ***
10月 -21.97 3.43 -6.41 0.00 ***
11月 -14.73 2.82 -5.23 0.00 ***
12月 0.12 2.32 0.05 0.96  
月曜ダミー(日曜基準) 28.98 2.26 12.81 0.00 ***
火曜 30.10 2.28 13.20 0.00 ***
水曜 30.53 2.31 13.21 0.00 ***
木曜 32.13 2.28 14.06 0.00 ***
金曜 27.63 2.30 12.04 0.00 ***
土曜 12.85 2.17 5.91 0.00 ***
18時(1:00基準) 40.36 7.59 5.32 0.00 ***
17時 53.03 7.60 6.98 0.00 ***
16時 64.95 8.79 7.39 0.00 ***
2時 57.32 7.96 7.20 0.00 ***
3時 57.66 8.72 6.61 0.00 ***
R2 0.852
Adjusted R2 0.847


・このモデルからの最大需要量の予測
 このデータでの最低気温-10。7度。最大積雪量32cm。需要が最も大きくなる2月の木曜16時を想定して、上の推定式を用いると600万kW。上述の実績値を上回る値となった。
 夏は冷房需要なので、最高気温と最大電力が一致するが、冬の場合は最低気温は夜間(みんな就寝中)であり、電力需要が一致しないのでずれがあると考えられる。
 ここでは1日単位で分析したが、24時間データを使えば、より妥当な予測ができるはずである。

参考)2013年1月15日の実績などは下記の通り。
 http://denkiyoho.hepco.co.jp/forecast.html
2013年1月15日(火)のでんき予報。節電にご協力いただき、ありがとうございます。皆さまのご協力により、電気の供給は、比較的安定した状況となりそうです。