ラベル 節電 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 節電 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年4月19日日曜日


総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会
発電コスト検証ワーキンググループ への 情報提供

発電コスト検証ワーキンググループに対する情報提供はこちら から3通に分けて提供したもの。

 これらへの対応は下記に示されているが、特に、「III.高経年化によるリスク、コスト増大」については、明らかに趣旨を理解していない。
「発電コスト検証ワーキンググループへの情報提供に対する対応について」(PDF形式:278KB)

 下記によると、これ以降の意見は考慮しないとあるが、再度、情報提供する予定である。
「発電コスト検証に当たっての情報提供依頼受付期間について(案)」(PDF形式:170KB)



I.火力のシナリオ
 
1)対象部分
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員 会 発電コスト検証ワーキンググループ 資料 

火力発電所
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/002/pdf/002_08.pdf


石炭火力発電所 熱効率:42%
LNG火力発電所 モデルプラント規模:140万kW 熱効率:52%等
など低めの値が想定されていますが、下記のようにより高いものが運用されて います。

2)根拠
(1)石炭火力発電所
IGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle)石炭ガス化複合発電

勿来発電所
http://www.joban-power.co.jp/nakoso_power_plant/igcc/
(株)クリーンコールパワー研究所(CCP)が、実証機による運転試験を 2007(平成19)年から2013(平成25)年3月まで行い、4月から当社が設備を引 き継ぎ商用設備(10号機)として運転をしています。

石炭火力の発電効率約42%に対して商用段階IGCCでは48~50%の発電効率が見 込まれます。
http://www.joban-power.co.jp/igccdata/igcc/dimension.html

(2) LNG火力発電所
熱効率:52% とあるが、下記によれば 約60%である。 これによって CO2排出原単位 も0.470kg-CO2/kWh→0.327kg-CO2/kWh
と低下している。

関西電力
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2013/0827_1j.html
姫路第二発電所新1号機の営業運転開始について
コンバインドサイクル発電方式


(3)工期、シナリオなど
 なお、姫路第二発電所については3年で更新工事が行われた。
<姫路第二発電所新1号機 設備更新工事の工程>
平成22年 7月 1日 設備更新工事(1~6号機)本格着工
平成24年11月15日 試運転における発電開始
平成25年 8月27日 営業運転開始

さらに 下記では
 東北電力  八戸火力発電所5号機 燃料転換に関わる試運転(発電開始)について
http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1189271_1049.html

 早期に供給力を確保するために、シンプルサイクル方式(燃料:軽油、出 力:27.4万キロワット)のガスタービン発電設備を採用し、平成24年7 月に営業運転を開始いたしました。
 その後、環境負荷を低減する観点から、排熱回収ボイラー、蒸気タービンお よび発電機等を追加設置し、コンバインドサイクル方式(燃料:軽油、出 力:39.4万キロワット)として平成26年8月に営業運転を開始いたしま した。

 また、同5号機は、さらなる環境負荷低減および経済性向上を目指し、燃料 を軽油からLNGへ転換するための工事を平成25年10月から開始しまし た。これまでにJX日鉱日石エネルギー株式会社(以下、JX)の八戸LNG ターミナルよりLNGの供給を受けるための「燃料ガス配管」の敷設や、ガス タービンに送るLNGを予め加熱する「燃料ガス加熱器」の設置等を行ってま いりました。
 このたびの燃料転換により、出力は39.4万キロワットから41.6万キ ロワットに、発電効率を示す熱効率は49パーセントから約55パーセントに 上昇し、発電電力量あたりの二酸化炭素排出量の削減などができる見通しです。
------- 引用おわり
のように、運転しながらの改修も可能となっている。


3)考慮すべき点
 これら火力発電所は既存火力の更新、もしくは工場跡地などへの立地も比較 的容易である。
 例えば神戸製鋼火力発電所は神戸市内に立地している。
   http://www.kobelco.co.jp/ipp_project/

 これによって、地域への熱供給も行い、それも含めたコジェネレーションとしt ねの熱効率は80%程度に達するとされる。
  http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/other/2_7A1.pdf

 このように電気のみならず熱なども含めた視点でエネルギー収支、コストを 勘案すべきである。 都市部に立地できるので、送配電ロスも低下する。

この他、
 上記のIGCCのページにあるように
 利用炭種の拡大、大気環境特性、 スラグの有効利用
といった面でのコスト低下も考慮すべきである。
http://www.joban-power.co.jp/igccdata/igcc/dimension.html


4)まとめ
 2030年にむけて即座に全老朽火力を更新することをシナリオに入れるべきで ある。
 熱効率も下記のように改訂 これにともない燃料費も低下するはずである。
石炭火力発電所 熱効率:42%  →48%
LNG火力発電所 熱効率:52%等  →60%

 さらに、電気のみならず熱も考慮したエネルギー全体での収支、コストを勘案 する。
 熱効率40%の火力を60%にすべて置き換えれば、熱効率30%の原発なしでも、 2010年レベルの燃料費、C02排出量も維持もしくは低減できるはずである。


II.高速増殖炉について
1)対象部分
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員 会 発電コスト検証ワーキンググループ 資料 

第3回 平成27年3月26日(木)
原子力発電
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/003/pdf/003_05.pdf

【政策経費】

軽水炉の発電コストなのに、(発電形式が異なる)高速増殖炉の研究開発まで計 上しているのは 違和感がある。

とあるが、

原子炉設置許可申請書では

 7 原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類 及びその年間予定使用量
 8 使用済み燃料の処分の方法
が記載され、許可の対象となっている。
 高速増殖炉は軽水炉で発生したプルトニウムを増殖させることを期待して開 発されたものであり、核燃料サイクルの中核を担うものと期待されてきた。

例えば 文科省 H13 科学技術白書
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200101/hpab200101_2_212.html

 2014 エネルギー基本計画では、さらに長期核種の変換による使用済み燃料 の処理を目指した開発へと強調点が変更された。
 なお、このような変換は、ターゲット核種の抽出という使用済み燃料の高度な 処理が前提となっていること、エネルギー収支からみてもコスト的にあわない ことは自明である。無駄な研究開発費と言わざるを得ない。
http://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140411001/20140411001.html

 これらはいずれも軽水炉を運用するために必要な研究開発費であり、計上す ることは当然である。

 なお、
長期エネルギー需給見通し小委員会第4回資料 
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/
ドイツから何を学ぶか
 については、
「再生可能エネルギーは必ず火力のバックアップが要る」
という珍妙な説が提案されている。
 この論理であれば、長期の定期点検が必要な原発、渇水期のある水力、いずれ についても、他の電源がバックアップとして必要となる。無意味な議論である。


III.高経年化によるリスク、コスト増大
1 総論
 安全対策をおこなっているので事故の発生確率を低く見積もるべきであると いう議論があったようである。
 残念ながら、過去の実態をみると点検およびその結果として対応をおこなっ てきたはずだが、故障は増加している。

2 論拠
1)戒能 一成(2009)「原子力発電所稼働率・トラブル発生率に関する日米比較 分析」 RIETI-Discussion Paper 09-J-035
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/09j035.pdf


[図3-2-1-2.,-3 総対処可能トラブル発生率推移比較- 型式別、- 沸騰水型
(BWR)・高年式]
は沸騰水型(BWR )・高年式の時系列での総対処可能トラブル発生率を集計して
いる。それによると、1999年には2件/年・基であったが、ほぼ線形に増加し、 2008年には8.5件/年・基に達している。この間、米国では8件/年・基から4件 /年・基に減少していることと大きな対比をなしている。
 同様に、図3-2-1-4.には低年式BWRについても集計しているが、1.2件/年・ 基から4件/年・基程度に増加している。
 
同様に加圧水型についても、
「1999-2003年と2004-2008年の発生率を比較した場合、日本では1.9件/年・
基から2.3件/年・基と微増であるが、米国では4.2件/年・基から2.6件/年・基 に減少している。」としている。

 これら原発は、定期点検を行い、問題があれば対応をしてきたはずである。 それにも関わらず、老朽化とともにトラブルは増加しており、安全対策によっ てもこれを低下させることは極めて困難といえる。
 よって、コスト評価に際しては、老朽化による事故リスクの増大=ここでの 例だとBWRでは10年で4倍、PWRでも同1.2倍に増加することを考慮すべきである。
 なお、この論文での分析対象期間は、初期不良が多発した時期を除いた比較的 安定した時期であることにも注意が必要である。今後の老朽化によって、この数 字はさらに高くなることが想定される。


2)事故として報告されない事象の考慮
 2009年5月 有限責任中間法人 日本原子力技術協会
 故障件数の不確実さを考慮した 国内一般機器故障率の推定
http://www.nucia.jp/jfiles/reliability/REPORT200905.pdf

 においては、 16年間のデータと21年間のデータを用いた場合BWR、PWRともに後 者の方がCDF が大きくなることが示されている。これは長期の運転による故障の 増加を反映 したものである(p.144)。

さらに、  表3-1 データ収集確率の確率分布の設定に用いるデータ  によると、
故障の候補となる事象数 513件に対して 故障と判定しカウントされた故障件数は 201件に過ぎないとされている。
つまり、全体の故障候補事象の39%しか 故障として報告されていないわけである。これを踏まえると、これまでのPRAのリスク評価を1/0.39=2.5倍に評価すべ きである。

 なお、この報告書や下記の報告書では故障はポアソン分布にしたがい、そのパ ラメータは時間一定であるとされている。
 これは故障の発生状況からみるとあきらかに誤りであり、初期に増大、中期に 安定、老朽化すると増加するというモデルで推定し直すべきである。

平成26年11月  
PRA 用パラメータ専門家会議
PRA 用パラメータの推定手法に関する 検討報告書
http://www.genanshin.jp/archive/praparameterstudy/data/JANSI-SPE-01.pdf

 ついでに、
NRC Handbook of Parameter Estimation for Probabilistic Risk Assessment (NUREG/CR-6823, SAND2003-3348P)
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/nuregs/contract/cr6823/
 では故障率のパラメータλが時間依存するモデルも推定しているが、80年代の 時間と共に故障が減少した部分のみのデータを用いており、故障数が従うと考 えられるバスタブモデルに添ったものではないことに注意が必要である。


3.結論
 これらは大小のトラブルを考慮したものであり、大事故にはつながるもので はないと考えるかもしれない。しかし、TMIでも弁の固着、インジケーターの見過 ごしという細かいトラブルが事故につながった。
 以上より、安全対策をおこなったからといってトラブルが減少するとは考え られない。上述のように、故障と認識されない問題が2.5倍はあること、さらに時 間と共に10年で2倍以上にトラブルが増加することを踏まえたリスク、コスト評 価をすべきである。

 以上

2013年1月27日日曜日


2013/1/27送信。締め切りは2013/1/28
ほぼ同内容で数字を変更したものも同日、

それぞれ下記の資料は必見
・関西電力
別紙4:電気料金の値上げ申請について(PDF形式:564KB)
別紙5:料金算定の前提となる需給関係資料(PDF形式:1,479KB)

別紙6:経営効率化の取組みについて(PDF形式:1,651KB)

・九州電力

------------
以下の理由から値上げには反対する。
 ページ番号は「別紙4:電気料金の値上げ申請について」におけるものである。
→案件によって違うようで、このパブコメは2000字以内なので主要部分は1回で投稿可能。


1)コスト改善努力の不足
 各種コストを削減するとあるが、大きく低下したのは、核燃料費、資本費、原子力バックエンドなど、原子力関連。これらは止めているのだからあたりまえ。原子力をやめれば、これらはそもそも激減できるはず。逆に2基半年しか稼働していないのに、核燃料費、バックエンドを前回の半分も見積もっているのは明らかにおかしい。また、電源開発促進費も相変わらず559億円を見込んでいる。これらは脱原発で0、少なくとも稼働実態に応じて見直すべきである(これで100+300+600=1000億は削減可能である)。
 人員数も減少しておらず、給与も過大に見積もっている。 国税庁民間給与の実態調査では製造業400万程度となっている。それら程度に引き下げるべき。また、健保保険料も負担率が高すぎる。
 原油価格があがったことが示されているが、LNGなどは低下している(できる)。購入条件の明示、その改善をすべき。
2)財務的な余裕
 過去の損益計算書をみると毎年、1000億以上の最終利益を確保。財務諸表 H23度末時点で 流動資産だけでも4530億円もあり、数年は現在の価格で事業は行える。
3)経営者の責任
 P/LをみるとH9から一貫して減価償却費、設備投資は減少、核燃料は増加している。このように、原子力への過度の依存、火力設備の更新の遅滞を招いた経営者には大きな責任がある。まずは経営者が責任をとって辞職すべきである。特に、原発にはリスクがあることがわかっているにも係わらず、原発依存を進めようとする姿勢は許しがたい。
4)情報開示、根拠の不足
 燃料費の購入方法、条件、単価など、細目情報が公開されていない。諸経費(広告など)はp.4より2057億だが、300億円程度しか削減されていない。広告、寄付先を明示すべきである。不要なものは当然ゼロにすべきである。寄付金は原発立地地域へのものも含まれる可能性がある。寄贈先を明示すべきである。
 これら公開されていない情報が多く、検討に値しない。まずは必要な情報を公開すべきである。
5)考えるべき方策
 p.8 燃料費 石炭系、ガス系の燃料費が低くなっておりこれらの活用を図るべき。p.5「卸電力取引所から安価な電力購入を行うことによる燃料費削減等」と他社発電の方が効率的であることを自ら認めている。さらに、自社の石油系単価14.9は、他社購入10.22円よりも高くなっている。自社で発電するよりは購入した方がよいだろう。送電に事業を限定してはどうか。



以下、補足-------------

1)コスト改善努力の不足 の詳細
 各種コストを削減するとあるが、大きく低下したのは、核燃料費、資本費、原子力バックエンドなど、原子力関連。これらは止めているのだからあたりまえ。原子力をやめれば、これらはそもそも激減できるはず。逆に2基半年しか稼働していないのに、核燃料費、バックエンドを前回の半分も見積もっているのは明らかにおかしい。これらは実態に応じて見直すべきである(これで100+300=400億は削減)。
 人員数も減少しておらず、給与も (国税庁 民間給与の実態調査 第2表 給与所得者数・給与額・源泉徴収義務者数)によると電気・ガス・熱供給・水道業 750万円と、すべての業種の中で突出して高い。
 (参考) 建設 430万円、製造業450万円など
 勤続年数などの差があるにしても、これだけの差は認めがたい。提示してある664万円としても、これを製造業並みにすることによって、一人あたり200万円減少。従業員も2割減少させることによって、 200万円*2000=40億円は削減できる。

p.9 修繕費
 原子力が640億円と大部分を占める。再稼働をあきらめれば、これはほぼなくなる。火力についても新規設置をすすめれば、これよりも長期的には低下できる。
・原料調達方法の改善
 原油価格があがったことが示されているが、lngなどは低下している(できる)。購入条件の明示、その改善をすべき。
・健保保険料  負担割合は他者同様 50%に下げる。→30億程度は削減可能
p.15 普及開発関係は不要。研究開発も過去において大した成果はないので、これも不要であろう。
 委託費の内訳を明示すべき。
p.16 研究はするのであれば、電中研でおこなう。自社では、研究能力がないことはわかっているはずである。 
 電源開発促進費  559億円


5)考えるべき方策 の補足
・料金算定の前提となる需給関係資料について
 p,2 最大電力見通し h24実績に対して h25 2696kwと過大な見通し
 なお、http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0907_1j_01.pdf によると最大は 8/42682である。

・p.4 ポイント
 新規電源 火力の増強、効率改善を行うべきである。
 原子力 7月に基準が決定しても審査には時間がかかる。高浜は稼働できない。
 他社電源 神戸製鋼の発電所にみられるように、関西電力よりも高効率、低価格、都市部立地可能な業者は多数存在する。それらの火力事業参入、購入を進めるべきである。




情報源
関西電力株式会社の電気料金値上げ認可申請を受理しました
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121126005/20121126005.html

別紙4:電気料金の値上げ申請について(PDF形式:564KB)

関西電力財務諸表 H8以降の時系列(エクセルデータ)
http://www1.kepco.co.jp/ir/download/index.html
同 有価証券報告書 
http://www1.kepco.co.jp/ir/securities/index.html
 上は数字だけだが、それなりに説明がある。

2013年1月15日火曜日

北海道の(超簡易)電力需要分析

 昨年夏には東京電力の需給分析を行った。北海道電力については、同様のデータが入手可能なので、分析してみる。東京電力についてはnonuke2011: 電力需給2009-11について  (2011/7/14現在のデータに基づく) を参照。


1.データ
下記の二つのデータを用いて、北海道電力の需給状況をみてみる。
(1)北海道電力 過去の電力使用状況データ   
 2009年以降の365日×24時間毎の需給実績
 1976年以降の各地の365日×24時間毎 の気象データ
(2)については札幌を指定。24時間毎のデータも入手可能だが、指定するのが面倒なので、1日毎のデータを用いる。
(1)(2)とも2009/7/1-2012/10の期間を分析対象とする。


2.概況
 上記期間での各年の最大需要電力量(ピーク電力需要量 万kW)は下記の通り。

 北海道電力の場合、以下のように冬期の夕方に生じている。
2009/12/21 17:00  Mon     565.6 
2010/2/5 17:00  Fri       568.6 
2011/1/12 17:00  Wed     578.8 
2012/2/2 17:00   Thu    568.4 


 これに対して、東電では下記のように夏の昼間に生じている。北電の電力需要量は東電の1/10程度である。

 2009/7/30 Thu 14:00       5450
 2010/7/23 Fri   14:00       5999
 2011/2/14 Mon 17:00       5150


・需要量の多い時間帯
 上述の最大需要発生日について、時間帯別の需要量をまとめた。北電では、15-18時ごろにピークがあることがわかる。東京電力については、昼間にピークがあり、北電と比べるとボトムとピークで需要量が2倍程度異なっている。これに対して北電はピークはあるものの、東電と比べるとボトムとピークの差は小さくなっている。これは、夜間でも暖房維持などのために利用されているためと考えられる。
図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量(北海道電力:冬期)


図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量(東京電力:夏期)


 ・気温と電力需要
 北海道電力について、3年間の気温と電力需要の関係をプロットした。明らかに気温が下がると需要量が増加していることがわかる。→暖房に電気を用いるのは無駄
 原発では発生した熱の4割程度しか電気に変換できない。つまり、6割の熱は捨てている。送電によるロスもある。火力発電所でも65%程度の効率。熱と電気の供給を組み合わせたコジェネなどを推進すべき。
図 気温(赤)と電力需要(黒)の関係(北海道電力)

 各日について、最高気温と最高需要電力量をプロット、年によって色分けした。各年とも15度を境にしたV字カーブ。夏は冷房、冬は暖房用に電力が消費されていることが推察できる。
 北電についてみると、高温度側については、需給電力量が低くなっており節電がきいていることがわかる。一方、低温側については低下しておらず、節電されていないことがわかる。
参考までに東電も示した。北電と比べるとカーブが急であることがわかる。

図 最高気温と最高需給電力量(北海道電力)




図 最高気温と最高需給電力量(東京電力:2011年は7月までのデータ)


3.北電冬期の電力需要量の推定
 上記のように夏と冬では電力の消費パターンが異なるので、2009,10,11年の11月から2月のデータを用いて、各日の最大需要電力を説明するモデルを推定する。前述のように電力量は1時間毎の値が得られているが、気象データについては1日の平均、最高などしか入手していない。このため、各日の最大電力を従属変数とする。現在、供給量が十分かが問題なので、ピーク電力量の規定要因を分析することには重要な意味がある。

・各種の要因が作用すると考えられるが、入手もしくは予想値を設定しやすい変数を用いることとする。
 気象データ  最低気温、風速、積雪量
 暦データ   年、月、曜日 2011/3/11後 ダミー変数
 
・結果
 モデルのあてはまりは、修正R2=0.847と単純なモデルにしては良好。下が推定結果。統計的に0でない(0という帰無仮説が棄却された)係数には*がついている。
 最低気温が1度下がると電力需要量は3.38万kW増加する(最低気温はマイナスなので、マイナスの係数を乗じると需要量は+)。
 積雪が1cm増加すると1.00万kW増加。
 3/11の震災以降平均して電力需要は8.88万kW減少している。
 1月を基準とすると、2月は需要量が6.8万kW増加。
 日曜を基準にすると、平日は需要量が増加。特に木曜は32万kW増加。
 時間帯では16時が+64万kw。
  参考までに東電は1度気温が上がると電力需要量は90.75万kW増加。

表 最大需要電力量についての回帰分析の結果

  推定値 標準誤差 t値 p値 有意水準
切片 426.18 7.62 55.90 0.00 ***
最低気温 -3.38 0.20 -17.28 0.00 ***
積雪量 1.10 0.14 7.97 0.00 ***
2011/3/11以降ダミー -8.88 2.61 -3.40 0.00 ***
2010年ダミー[2009年基準) 2.29 1.56 1.48 0.14
2011年 4.98 2.26 2.21 0.03 **
2012年 7.55 3.34 2.26 0.02 **
2月ダミー(1月基準) 6.78 2.08 3.26 0.00 ***
3月 -12.34 2.32 -5.31 0.00 ***
10月 -21.97 3.43 -6.41 0.00 ***
11月 -14.73 2.82 -5.23 0.00 ***
12月 0.12 2.32 0.05 0.96  
月曜ダミー(日曜基準) 28.98 2.26 12.81 0.00 ***
火曜 30.10 2.28 13.20 0.00 ***
水曜 30.53 2.31 13.21 0.00 ***
木曜 32.13 2.28 14.06 0.00 ***
金曜 27.63 2.30 12.04 0.00 ***
土曜 12.85 2.17 5.91 0.00 ***
18時(1:00基準) 40.36 7.59 5.32 0.00 ***
17時 53.03 7.60 6.98 0.00 ***
16時 64.95 8.79 7.39 0.00 ***
2時 57.32 7.96 7.20 0.00 ***
3時 57.66 8.72 6.61 0.00 ***
R2 0.852
Adjusted R2 0.847


・このモデルからの最大需要量の予測
 このデータでの最低気温-10。7度。最大積雪量32cm。需要が最も大きくなる2月の木曜16時を想定して、上の推定式を用いると600万kW。上述の実績値を上回る値となった。
 夏は冷房需要なので、最高気温と最大電力が一致するが、冬の場合は最低気温は夜間(みんな就寝中)であり、電力需要が一致しないのでずれがあると考えられる。
 ここでは1日単位で分析したが、24時間データを使えば、より妥当な予測ができるはずである。

参考)2013年1月15日の実績などは下記の通り。
 http://denkiyoho.hepco.co.jp/forecast.html
2013年1月15日(火)のでんき予報。節電にご協力いただき、ありがとうございます。皆さまのご協力により、電気の供給は、比較的安定した状況となりそうです。




2011年8月1日月曜日

電力需給2009-11について  (2011/7/14現在のデータに基づく)


1.データ
下記の二つのデータを用いて、東京電力の需給状況をみてみる。
(1)TEPCO : でんき予報|過去の電力使用実績データ   
2008年以降の365日×24時間毎の需給実績
 1976年以降の各地の365日×24時間毎 の気象データ
(2)については東京を指定。24時間毎のデータも入手可能だが、指定するのが面倒なので、1日毎のデータを用いる。
ダウンロードするのが面倒なので、(1)(2)とも2009/7/1-2011/7/12の期間を分析対象とする。

2.概況
上記期間での各年の最大需要電力量(ピーク電力需要量 万kW)は下記の通り。2011年は震災、原発によって夏ではなく、2/14がピークとなっている。
 2009/7/30 Thu 14:00       5450
 2010/7/23 Fri   14:00       5999
 2011/2/14 Mon 17:00       5150  参考)2011/7/11 Mon 14:00       4594

・需要量の多い時間帯
右の図をみるとわかるように、夏期では10-18時ごろにピークがある。
2011/2/14という冬期においては、真昼ではなく、8時、18時ごろにピークがある。
2010年7月と比べて2011年7月はピーク部分が1500万kw程度減少。朝晩も300万kw程度減少している。
図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量

・気温と電力需要
各日について、最高気温と最高需要電力量をプロット。年によって色分けした。各年とも20度を境にしたV字カーブ。夏は冷房、冬は暖房用に電力が消費されていることが推察できる。
→暖房に電気を用いるのは無駄
原発では発生した熱の4割程度しか電気に変換できない。つまり、6割の熱は捨てている。送電によるロスもある。火力発電所でも65%程度の効率。熱と電気の供給を組み合わせたコジェネなどを推進すべき。

赤は2011年。温度の低い部分では2009-10年とほぼかわらないが、それよりも高い部分、つまり3月以降は、やはり需要量は減少している。
図 最高気温と最高需給電力量

3.夏期の電力需要量の推定
上記のように夏と冬では電力の消費パターンが異なるので、2009,10,11年の5月から10月のデータを用いて、各日の最大需要電力を説明するモデルを推定する。
前述のように電力量は1時間毎の値が得られているが、気象データについては1日の平均、最高などしか入手していない。このため、各日の最大電力を従属変数とする。現在、供給量が十分かが問題なので、ピーク電力量の規定要因を分析することには重要な意味がある。

・各種の要因が作用すると考えられるが、入手もしくは予想値を設定しやすい変数を用いることとする。
気象データ  最高気温、湿度、風速、降雨量
暦データ   年、月、曜日 2011/3/11後 ダミー変数
・結果
モデルのあてはまりは、修正R2=0.876と単純なモデルにしては良好。残差の大きいものでは564万kwがあったが、これは気温が低いため暖房が増加した10月の日付。ここでは、夏を考えているので、これは無視。モデルや変数の定義を行えば、通年データでも推定できるはずだが、とりあえずこの結果で。

下が推定結果。統計的に0でない係数には*がついている。
最高気温が1度上がると電力需要量は90.75万kW増加する。
湿度が1%上昇すると9.60万kW増加。風や降雨量は関係ない。
3/11の震災以降平均して電力需要は228万kW減少している。
5月を基準とすると、7-9月は需要量が増加。特に8月は314万kW増加。
日曜を基準にすると、平日は需要量が増加。特に火曜は492万kW増加。
時間帯では14時が+236。


表 最大需要電力量についての回帰分析の結果

推定値スイテイチt値アタイ有意水準ユウイスイジュン
切片セッペン466.692.24**
気象キショウ最高気温サイコウキオン90.7514.76***
湿度シツド9.604.71***
最大風速サイダイフウソク-13.91-1.27
降雨量コウウリョウ-0.93-0.70
暦コヨミ3/11以後イゴダミー-228.42-4.15***
2010年ネンダミー311.447.45***
6月ガツ-93.48-1.57
7月ガツ223.192.89***
8月ガツ314.153.74***
9月ガツ156.412.06**
月曜ゲツヨウ437.646.38***
火曜カヨウ492.887.01***
水曜スイヨウ470.756.68***
木曜モクヨウ484.876.86***
金曜キンヨウ450.636.21***
土曜ドヨウ53.590.88
10時ジ89.740.54
11時ジ181.852.64***
12時ジ-367.03-1.34
13時ジ59.360.62
14時ジ236.873.78***
16時ジ120.141.48
17時ジ47.830.35
18時ジ76.601.18

注)2009,10,11年の5月から9月の日次データ。N= 293。
Multiple R-squared: 0.885, Adjusted R-squared: 0.876 
エクセルからペーストしたらふりがなもつけられてしまった。

・グラフにしてみたのが下の図。
推定に用いた5-9月の部分のみ示されている。
黒、赤はそれぞれ電力需要量の実績値と内挿値。青は最高気温×150。
気温と電力需要量は相似形であること、実測値と内挿値はよく似ていることがわかる。
図 電力需要量の実績値、内挿値、最高気温

・このモデルからの最大需要量の予測
このデータでの最高気温37.2度。最高湿度 88%。需要が最も大きくなる8月の火曜14時を想定して、上の推定式を用いると5494万kW。
95%信頼区間は[5414,5574]
東電の設備については こちらにまとめた。
最近の報道では 東電、7月末供給力を5680万キロワットに上方修正 | Reuters  記事によると8月末でも5560万kWとのことなので、このままの節電、経済水準を維持し、とてつもない高気温にならない限り不足することはないだろう。
東電で現在稼働中の原発は柏崎刈羽原子力発電所/の1,5,6,7号(計500万kW)。ちょっと頑張ればすぐに止めてもok。今後、定期点検で停止しても問題はないだろう。

4.結論
ピーク時は夏場の1日あたり数時間×数日。それにあわせて原子力発電を増強するのではなく、ピークカットのための太陽光発電などと併用すると効果的だろう。
現在のような遠隔地に巨大発電所を設置、電気を遠距離送電。熱は捨てるという方式は無駄が多い。コジェネなどで熱と電気の供給を行い資源を有効活用。
節電などのおかげで、東電関内では電力が不足することはないだろう。

5. 課題など
・モデルのあてはまりの改善。
時系列構造の導入(暑い日が連続すると、、、、)など。
・時刻ごとの推定。
・東京以外の気象データの利用。
・部門別の推定(データがあれば。本当に産業の空洞化が懸念されるのか?)

6.追記
節電による産業への影響が喧伝されるが、7/29に発表された経産省の商業販売額は前年同月比+2.9%、鉱工業指数(生産)は -1.6%程度。産業別に細かく見ると自動車などは落ち込みがあるが、全体で見るとさほどではないようである。(節電による産業空洞化?)
7.追記2
 訂正)この夏の最大電力は8/18(木)14-15時の4922万kW   私の予測は5494万kW。 予測よりも10%以上節電したということ。冬はそもそも夏より1500万kW低いので余裕でok。

2011年7月30日土曜日

節電による産業空洞化?

電力需要は東電のみでも1500万kw減(ピーク電力)。 


図 各年のピーク電力量を記録した日の時刻別電力需要量


出所)電力需給2009-11について。 

商業販売統計速報 平成23年6月分  震災の3月は百貨店が大きく落ち込むもその後は急速に回復。

概況

出所) 商業販売統計速報 平成23年6月分 



鉱工業指数  2011年6月分速報  前年同月比 生産 -1.6% 出荷-1.5%と微減。一方で、在庫は4.0%増。節電による生産への影響は全体で見るとほとんどない。

平成17年=100
項目季節調整済指数原指数
指数前月比
(%)
指数前年同月比
(%)
生産92.73.996.6▲ 1.6
出荷94.68.598.1▲ 1.5
在庫100.8▲ 2.8100.24.0
在庫率111.9 ▲ 7.3109.54.7
出所)鉱工業指数  2011年6月分速報