2015年5月14日木曜日

福島県甲状腺検査についての分析3

福島県甲状腺検査についての分析3

 その後、2013年までのデータを用いた分析を岩波「科学」2015年6月号に公表した。それに関する補足などを行う予定のページ。

・図について
 凡例の色について、2012年と2013年で入れ替わっていました。申し訳ありません。
 正しくは、○2012年 誤:青→正:黒、△2013誤:黒→正:青。下記が正しいもの(右上の凡例の○と△の色が入れ替わっただけです)。

・以下補足情報など

・p.586
 「福島および3県調査と他の研究を比べると、結節の割合が低く、嚢胞の割合が高いという特徴がある。これは定義の差なのか、対象者の検査時年齢や検査機器の違いによるのか、筆者にはわかりかねるところである。」→放影研の関係者に質問したところ、他の研究でいうsolid nodule=福島および3県調査でのnoduleが同じ定義。福島、3県で嚢胞の割合が高いのは、通常は無視する5mm以下のものも拾っているからではないかとのこと。

・スクリーニング効果について
 (チェルノブイリと比較するならば)機器の性能向上、受診者増加の2つの要因を考慮する必要がある。前者については表にまとめたように、機器は明かなので、ベンチマーク画像で識別可能な結節のサイズを比較するといったことがされていれば可能であろう。→Hayashida et al.(2012)の著者、およびメーカー(アロカ)に問い合わせたところ、そのようなデータはないとのこと。
 表1のHayashida et al.(2012)は、Panasyuk et al.(1997)と同じ対象者をフォローした研究。アロカSSD630が二時点で利用されており、1997年はそれとSSD520という古い機種、2012では東芝SSA580という新しい機種と併用されている。現時点で同じ人を二つの機器で測定して性能比較することは可能。
 各個人がどの機器で測定されたのかがわかるはずなので、その情報+経時的な変化は成長曲線モデルなどによって補足するなどすれば、状況によっては、機器の性能の差を比較できる可能性はある。
→著者に問い合わせたが、そのような測定、分析をする予定なし。

・表1 福島と3県調査
 検査にもちいるプローブの周波数が福島(1次:11Mhz、2次:18MHz)、3県(1次:7.75MHz)と異なるが、診断結果には差はないはずとのこと。




・他の線量を用いた分析について
 下の1)福島県甲状腺検査関連を参照。

2015/11/21 追記
ICRR2015京都 ポスター報告
 コメントA 「人口の少ないところの結果に引っ張られているとか、交絡があるのでは?」→「割合そのものを被説明変数とするのではなく、症例数とし、検査数をオフセットにしているので、その可能性はないはず。また、浪江など端のものをいくつか除去しても、有意になる。」
→「交絡要因があれば教えて頂きたいのですが。」→返答なし。
 同じ方 「線量については、避難中に汚染した食物を食べた可能性がある。避難中に食べさせてもらったという立場上、それを正直に回答できない可能性もある。それを回答してもらうには、日頃から現地入りして信頼を得てからでないと難しい。」→地道な活動、頭が下がります。

 コメントB 「UNSCEARの線量と実測には乖離があるので、あまり意味がないのでは?」→「専門家もそれなりに妥当だと認めているのですが。先生は内部に近い方なので、ケース=コントロールなど個人レベルでの分析などをしてみてください。」

JMELODI2015 ポスター報告
 コメントA 「2011年については、きれいに線形がみえていますね。飯舘などは、避難が遅れたので食物から結構摂取した可能性もあるので、このグラフより右寄りになる。そうするとより線形性が強まる。まあ、今となっては測定は困難ですが。」

 コメントB「私は○○学者で、このような数字あそびは嫌い。福島で頑張っている人に、どういうメッセージがあるのですか。」→私はあくまで分析者として中立的な立場で、私に比較優位のあることをしているだけです。 

・IAEAのインデックスに収録されたようだ

参考ページ

1)福島県甲状腺検査関連
・このブログの関連トピック