「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」に対する意見募集について
なお、原発従業員を対象とした調査ですら
年間1mSv (個人線量計)の被曝量 で平均10年程度勤務 平均被曝量13mSv
当然大人から。ですら白血病死のリスクが高まることが明確になった
http://www.rea.or.jp/ire/houkoku
子供の場合、リスクはさらにおおきいことは被曝者の分析で明確である。
1mSvを超える地域が多数ある福島への帰還はありえない。
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1.総論
ICRPはそれなりに体系的に勧告しているが、日本政府の現在の対応は、、体系性に欠ける。被曝を受容する方向にICRP勧告のつまみ食いをしているとしか考えられない下記のように変更すべきである。
1)政策決定への住民参加
「ICRP109 緊急時被ばく状況における人々の防護
(x)緊急時被ばく状況から現存被ばく状況への移行は,対応全体に責任がある当局の決定に基づくことになるであろう。この移行は,一般に緊急対策が実行されている時点ではないが,緊急時被ばく状況のどの時点でも起こる可能性がある。さらに,この移行は,地理的位置により異なる時点で起こる可能性があるため,ある地域は緊急時被ばく状況として管理される一方で,他の地域は現存被ばく状況として管理される。この移行は,異なる当局への責任の委譲を伴う可能性がある。この委譲は,調整されかつ完全な透明性をもって行われるべきであり,関係するすべての当事者によって了解されるべきである。緊急時被ばく状況から現存被ばく状況への移行の計画策定は,緊急事態への準 備全般の一環として行われるべきであり,関連するすべてのステークホルダーが関与すべきであると委員会は勧告する。」
にあるように、当局が決定に責任をもつとしながらも、ステークホルダーが計画に参加することを重視している。しかし、一連の施策について、住民というもっとも重要なステークホルダーが計画策定に含まれていない。コミュニケーションと称しているが、政府が一方的に決定したことを説明しているだけである。住民を含めた計画策定からやりなおすべきである。
2)線量について
「原発事故発生から4年余りが経過した現在においては、空間放射線量等からは、避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく」
とあるが、これは誤った認識である。
「ICRP109(25)
緊急時計画は特定の個人よりも集団のグループを防護するために作成されるため,残存線量は計画策定においては一連の代表的個人のそれぞれに対する線量として導出される。代表的個人を特徴づける際のガイダンスは,Publication 101(ICRP, 2006)に提示している。原則として,緊急事態中に被ばくする可能性がある集団は,被ばくおよびその被ばくからのリスクが比較的一様なグループに分けられるべきであり,代表的個人は,これらの各グループに対して特徴づけられるべきである。」
これについては、下記の資料の方がわかりやすい。
「一方、幾何平均をどのように与えるかは、ICRP が Publication 101 Part 110)で新たに 発表した代表的個人の考え方を用いて線量拘束値を遵守するた
めの要件と深く関係する。代表的個人とは、集団の中で最も高い被ばくを受 ける人々を代表する線量を受ける仮想的な個人のことである。ICRP は、仮想 的な個人に対する線量を予測する確率論的評価の場合、 仮想的な集団から任 意に抽出された人間が線量拘束値を超える年間実効線量を被ばくす
る確率が 5%未満であるように代表的個人を決定するよう勧告している。(日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズ Vol.7 No.2 放射線安全の新しいパラダイム検討専門研究会報告書」
平均ではなく、被曝量が多い方に注目し、それらの被曝を回避することを重視している。
これについて参考資料にある「福島県内における個人被ばく線量測定事業の結果概要まとめ」によると個人線量計ですら、1mSV 以上の地点が伊達で26%、二本松でも10%見 られている。
によると、52,783人(全市民のうち、1年間継続して測定した人)の平均で0.89mSvであるが、下記のような分布となっており、事故後3年以上たっても1mSvを上回る方が34%もいる。ICRPは、平均ではなく、このような方々への配慮を勧告している。
伊達市ですら、この状態であり、空間線量のより高い地域ではこの割合は高くなるだろう。実際、同市の霊山地区では、1mSv 以上の割合が65%へと増加する。
~1 mSv 66.3%
1~2mSv 28.1%
2~3 mSv 4.4%
3~4 mSv 0.9%
4~5 mSv 0.2%
5 mSv以上 0.1%
避難すべき状態にない、というのは全くの誤りである。
なお、原発従業員を対象とした調査ですら
年間1mSv (個人線量計)の被曝量 で平均10年程度勤務 平均被曝量13mSv
当然大人から。ですら白血病死のリスクが高まることが明確になった
http://www.rea.or.jp/ire/houkoku
子供の場合、リスクはさらにおおきいことは被曝者の分析で明確である。
1mSvを超える地域が多数ある福島への帰還はありえない。
3)体系的な支援、特に移住の支援について
ICRP109では永久移住、避難の問題点、移住、など幅広く論じているにも係わらず、福島に関しては、除染および帰還の推進を力点とした政策が行われてきた。上述のように線量は避難すべき状態にある。移住への支援も強化するなど、避難者への支援を積極的に行うべきである。
4)前提となる「専門家会議中間とりまとめ」について
とりまとめには、根本的に重要な点でミスがある。このような重要なミスを犯す専門家の議論に意義があるとは考えにくい。委員を入れ替えて、ただちに新委員会による対応を行うべきである。
とりまとめ p.4
「原爆被爆者約12 万人の調査の結果から、100~200mSv(短時間1回の被ばく)よ
り高い被ばく線量では発がんのリスクが増加することが確認されている[6]。それより
低い被ばく線量では、放射線によってがんの発症が増加したとしても、他の要因によ
る発がんの統計的変動に隠れてしまうために放射線による発がんリスクの増加を疫学
的に証明することは難しいとされている[6]。また、遺伝性影響については、疫学調査
において増加したことを示す結果はこれまでに得られていない。(下線引用者)」
とある。ここで[6]は
[6] United Nations Scientific Committee on
the Effects of Atomic Radiation 2010. UNSCEAR 2010 Report., UNSCEAR (2011)
であり、その原文該当箇所は、下記のpargraph
25である。
25. The Committee has used the
epidemiological data to examine the relationship between the radiation dose
received and the risk of cancer induction, i.e. the dose-response relationship.
Excess relative risk is a measure of the size of the increase in cancer risk in
the study population due to the radiation at given doses (larger numbers
indicate higher risk). The data from the survivors of the atomic bombings in
Japan for all solid cancers combined provides the clearest picture of this
relationship; this is shown in figure II. The dose-response relationship for mortality
at low doses shown in figure II may be described by both a linear and a
curvilinear function. Statistically significant elevations in risk are observed
at doses of 100 to 200 mGy and above. Epidemiological studies alone are
unlikely to be able to identify significant elevations in risk much below
these levels. It is a complex process to extract from all informative studies
an overall estimate of the lifetime risk of cancer induction from radiation
exposure. The Committee has used mathematically based models together with data
on the underlying cancer rates in five populations from different regions of
the world to address this question, but fully recognizes the uncertainties in
these estimates. The Committee’s current estimates for the risks of
radiation-induced fatal cancers are shown in table 1; these cancer risk
estimates are similar to those previously made by the Committee and other
bodies. Risk estimates vary with age, with younger people generally being
more sensitive; studies of in utero radiation exposures show that the
foetus is particularly sensitive, with elevated risk being detected at doses
of 10 mGy and above.
まず、「まとめ」では「発がんのリスク」としているが、原文にあるように「ガンによる死亡mortality」の誤りである。
さらに、これは同パラグラフのFig.IIを解説したものである。Fig.IIは同図の脚註にあるように、UNSCEAR2006 “Vol. I:EFFECTS OF IONIZING RADIATION : Annex A: Epidemiological studies of radiationand cancer” である。
被曝者追跡調査は12万人に対して行われているが、この論文では入市被曝者を除き、DS02、DS86線量推定値が得られた86,671人を対象に分析している。よって、原爆被爆者「約8.7万人」を対象とした分析とすべきである。
ただし、もっとも重要なのは、上記のparagraph
25後半に” 若年層はより影響されやすい(younger
people generally being more sensitive)”、”胎児はより影響されやすく、10mSvでもリスク上昇が検出された(foetus is particularly sensitive, with elevated risk being
detected at doses of 10 mGy)”とあるにも関わらず、「中間とりまとめ」では、このことが全く無視されていることである。
とりまとめp.2であげられている「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成二十四年六月二十七日法律第四十八号)」
でもこのことは、下記のように明記されている。
「第二条 5 被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、子ども(胎児を含む。)が放射線による健康への影響を受けやすいことを踏まえ、その健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期することを含め、子ども及び妊婦に対して特別の配慮がなされなければならない。」
このとりまとめでは、この理念も無視されている。なお、その後、UNSCEARは2013年に子供への影響に関する報告書を提出している(UNSCEAR, 2013)。科学の手続きによれば、より新しい知見を引用するべきである。
このような重要なミスを犯す専門家の議論に意義があるとは考えにくく、それにもとづく政策案も意味のないものとなっている。委員を入れ替えて、ただちに新委員会による対応を行うべきである。
2. 細かい点
以下、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(改定案)へのコメント。
「しかし、原発事故発生から4年余りが経過し、原子力災害被災地でも復旧が進 み、復興に向けた将来像が描かれようとしている。一方、依然として多くの被 災者が、応急仮設住宅での避難生活を続けており、あくまでも避難に伴う仮住
まいでの一時的な生活の継続は、先行きが見通せず、被災者にとって大きな負 担になっている。」
→仮設住宅ではなく新たな居住地を提供すれば、このような問題は解消する
「法第2条は、被災者が、自らの意思によって福島県等において避難せずに居住
を続ける場合、他の地域へ移動して生活する場合、移動前の地域へ再び居住す る場合のいずれを選択した場合であっても適切に支援するとともに、外部被ば く及び内部被ばくに伴う健康不安の早期解消に最大限の努力をすることを要請
している。」
→「他の地域へ移動して生活する場合」についても、帰還を望まないものに対して は土地の買い上げなど、移住の支援を行うべきである。
「Ⅲ 被災者生活支援等施策に関する基本的な事項
災害救助法(昭和22年法律第118号)に基づく応急仮設住宅の提供は、住家を
一時的に失った被災者への仮住まいの現物支給であり、その提供期限は原則2 年とされている。」
→通常の災害と異なり、放射線は2年や4年経過しても消えることはない。さらなる延長も しくは土地家屋の買い上げなどによる移住支援を積極的に行うべきである。
「現在の支援対象地域内の空間放射線量は、原子力規制庁が実施している航空機
モニタリング結果に基づき推計した外部被ばく線量によると、原発事故発生時 と比べ、大幅に低減しており、生活圏として既に年間1~20ミリシーベルトの 線量域の下方部分にあり、各市町村で実施している個人被ばく線量の測定(支 援対象地域内での実施12市町村の直近の各平均は、既に年間1ミリシーベルト 以下)、福島県が実施しているホールボディ・カウンタ検査、厚生労働省等が
実施している食品検査等からは、「長期目標」をも満たしつつある。
→上述のとおり不適切な記述。避難が必要な方々が多く居住と書き換え。
「これを受け、事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進、福島県及び福
島近隣県における疾病罹患動向の把握、福島県の県民健康調査「甲状腺検査」 の充実、リスクコミュニケーション事業の継続・充実に取り組むこととする。」
→甲状腺、線量など、分析能力に著しい問題がある。この体制で行うことはむりで あり、プライバシーを保護しつつ、専門家へのデータの公開を促進すべきである。
「その他、汚染の状況についての調査、除染の継続的かつ迅速な実施、支援対象
地域で生活する被災者への支援、支援対象地域以外の地域で生活する被災者へ の支援、支援対象地域以外の地域から帰還する被災者への支援、避難指示区域 から避難している被災者への支援等に関し、被災者が、いずれの地域かにかか
わらず、自ら居を定め、安心して自立した生活ができるよう、法の趣旨に沿って、定住支援に重点を置きつつ、地方創生分野の取組など各施策 も活用しながら、引き続き必要な施策を行っていく。」
→除染よりも移住希望者への支援を行うべきである。
「Ⅳ その他被災者生活支援等施策の推進に関する重要事項
被災者が具体的な施策について把握できるようにするため、関係省庁の各施策
の概要、対象地域等を記した資料を別途取りまとめ、公表する。本基本方針は、必要に応じて見直す。その際、被災者等の意見を適切に反映す る観点から、被災者を支援する民間団体等とも連携する。」
上述のように 住民というもっとも重要なステークホルダーが計画策定に含まれていない。避難住民を含めて意思決定を行うべきである。
専門家中間取りまとめによれば、
「今般の原発事故ではこれまで確定的影響(組織反応)の発生は確認されてお らず、放射線被ばくによる生物学的影響については主にがんについて検討する
必要がある。(中略)
→この中間とりまとめには以下の問題があり、参考にならない。
「221. 上記のとおりであるにしても、これまでの経験では、特定の集団(特に胎 児としての被ばく後、あ るいは乳幼児期・小児期の被ばく後)における特定の
がんの相対リスクは集団の平均よりも高くなる。」
「222. 甲状腺がんについて
上限に近い甲状腺吸収線量では、充分に大きな集団において識 別可能な甲状 腺がんの発生率上昇をもたらす可能性がある。幼少期および小児期により高い 甲状腺 線量に被ばくした人々の間で甲状腺がん発生率が上昇するかどうかを
見極めるという点に関して本委 員会が確固たる結論を導くには、線量分布に 関する情報が充分ではなかった。」
リスクがないとはいっていない。