2024年3月24日日曜日

2024/3/21 Nuclear Energy Summit 2024雑感


 はじめてとされる上記のサミット(ベルギーとIAEAの共同主催)が実施された(背景や「対抗する世界各国市民からの共同声明」への署名活動はこちら)(最終的な署名と日本語訳はこちら)。当初、2間とされたリリースとは異なり、サイドイベントも含めて、1日で開催された(プログラムはIAEAのホームページから)。欧州からは首相級が出席したものの、日本からは高村外務大臣政務官が出席して岸田のメッセージを代読、米国はSenior Advisor to the Presidentが出席(前半のofficial 部分でstatementを読み上げた者)と、さほど重視はされていないように見える。

1 Declaration

 肝心のNuclear Summit Declaration、3/24日現在、IAEAのページおよび同サミットのページをみてもみあたらないが、下記の記事に"extract"されているものをみると、相変わらずの妄言のようである。ただし、COP28での3倍宣言よりも署名した国が増えていることには注意が必要である。

(記事1)WNNに宣言の一部、各国のstatement概要。

https://www.world-nuclear-news.org/Articles/Leaders-back-nuclear-at-summit


2 内容

 当日のストリーミングがYoutubeで公開されている。各国首脳の発言は、上記の(記事1)がサマリーしている。

(2024-03-21) Livestream of Nuclear Energy Summit 2024

https://www.youtube.com/watch?v=5XtS88WdlLM

上記ビデオの概要(後半のパネルのタイトル、出演者などはIAEAのホームページ)

はじめの方は遠景とか参加者を捕まえて会見している様子。

1:45:00 頃から Summit開始

主催のベルギー首相De Croo首相、 IAEAのGrossi事務総長のスピーチ。

その後、EU委員、EU President von der Leyen 

つづいて、参加各国からのstatement。

3:03:00頃 壇上に各国首脳。なんとかのalliance familyということで日本は載らず。

3:43:00頃 高村村正大外務大臣政務官  外務省からのリリース

3:46:00頃 米国 シニアエネルギーアドバイザー ボーグル原子力発電所の運転開始、SMR実証炉を展開、核融合にも投資。

IEADrなんとか Nuclear is strongly back。ただしnucleanには時間がかかる。      

昼休み

4:08:00 ベルギー首相、IAEA事務総長による記者会見

 ベルギー首相) これまではイデオロギーにとらわれてきた。イデオロギーではなく、科学にもとづく対策。

 再生エネルギーとの対立ではなく共存


5:00:00 参加各国からのstatementつづき


6:28:00 Panel discussion 1.1

 司会者のハイテンションさをみると、核のプロモーション団体としてのIAEAの本性があきらかになったともいえる。

 (マイクロソフト)AIで電力消費増大だが、AIで発電の効率化可能


7:04:00 Panel 1.2

 原子力に不安をもつ大衆を教育する必要がある。


7:42:00 Pane l2 

 寝落ち

8:40:00 panel 3 核サイクル、核廃棄物

 JAEAの小口理事長はカンペを読み上げる。

フィンランド

 信頼が重要 オープンにしている。


9:46:00 Panel 4 資金

 この司会(Nuclear Energy Institute のCEO)もなかなか


動画最後あたりで、Declaration Ceremonyは19:30からとアナウンスされるが、その部分は含まれていない。



3.感想など

 原発は気候変動対策、クリーン、 大量、安定、信頼できる電源、チェルノブイリや福島事故をへて安全性が高まった、再エネとの共存などがキーワード。AIには電力が必要、24時間×365日稼働可能な原発は、AI向け電源に最適のような流行のものと組み合わせるところもあざとい。

 共同主催のベルギー首相が、記者会見で、イデオロギーによる反原発から、科学に基づく対策。再エネとの対立ではなく原発の共存などと話していた。あたかも反原発には科学的裏付けがないような言い方である。一方、反原発、脱原発(のみ)を強調することは、イデオロギー的にみられる可能性もある。

 再エネ中心で目標達成可能であることを説明した上で、そのために原子力が必要ないこと、さらに原発のダーティさ、遅さ、リスク、高価さなどを訴える方が、特に若い層に対しては効果的が高いのではないか。

 上記のWNN記事の最後には、主催したDe Croo首相、IAEAのGrossi とも周年開催にはなりそうもないと述べた一方で、宣言の最後にはこの流れを継続するための別のサミットも、といった記述があるそう。

4 産業界のdeclaration

 上記のプログラムにあるように、原子力産業界も、これに応じて宣言をした。それについてもWNNのページにまとめられている。

Industry declaration 


https://www.world-nuclear-news.org/Articles/Industry-ready-to-help-deliver-governmental-nuclea




5 日本での報道など

経産省からはニュースリリースなし。

朝日新聞 「原子力が復活」 ベルギーでサミット初開催、原子力拡大へ共同宣言
日経 原子力活用へサミット IAEA、脱炭素と成長の両立強調
FNN IAEA「原子力エネルギー・サミット」初開催 原子力分野への支援強化を求める宣言採択


(3/28)追記
IAEAから3/25づけのリリース。サミットおよび、前後に行われたサイドイベントの様子。
‘A Turning Point’: First Ever Nuclear Energy Summit Concludes in Brussels

Industry declaration へのリンクはあるが、SummitのDeclarationは公開されていない。
→IAEAに問い合わせた所送られてきたのでこちらに公開。

 こちらにまとめたように、Panel Discussionでは、軽薄な司会者のもと、廃棄物の管理は可能、SMRを展開、核融合にも投資など楽天的なパネリストだらけであり、その部分はofficial ではないのかもしれないが国際機関がホストすべき内容ではない。下記のリリース最後のあたり、GrossiがIAEAの本性をさらけ出している。
“The Nuclear Energy Summit must be a turning point for nuclear energy, calling for global investment across all economies,” said Mr Grossi. “The IAEA, born from a vision of nuclear for peace and prosperity, is here to support this transition.”