2015年7月31日金曜日

「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」に対する意見募集について
への意見→2000文字制限があるので、数回に分けて投稿 (半角をすべて全角に変換して投稿。それを逆に全角を半角に文字種変換したもの)。



1.総論
ICRPはそれなりに体系的に勧告しているが、日本政府の現在の対応は、、体系性に欠ける。被曝を受容する方向にICRP勧告のつまみ食いをしているとしか考えられない下記のように変更すべきである。

1)政策決定への住民参加

「ICRP109 緊急時被ばく状況における人々の防護
(x)緊急時被ばく状況から現存被ばく状況への移行は,対応全体に責任がある当局の決定に基づくことになるであろう。この移行は,一般に緊急対策が実行されている時点ではないが,緊急時被ばく状況のどの時点でも起こる可能性がある。さらに,この移行は,地理的位置により異なる時点で起こる可能性があるため,ある地域は緊急時被ばく状況として管理される一方で,他の地域は現存被ばく状況として管理される。この移行は,異なる当局への責任の委譲を伴う可能性がある。この委譲は,調整されかつ完全な透明性をもって行われるべきであり,関係するすべての当事者によって了解されるべきである。緊急時被ばく状況から現存被ばく状況への移行の計画策定は,緊急事態への準 備全般の一環として行われるべきであり,関連するすべてのステークホルダーが関与すべきであると委員会は勧告する。」

 にあるように、当局が決定に責任をもつとしながらも、ステークホルダーが計画に参加することを重視している。しかし、一連の施策について、住民というもっとも重要なステークホルダーが計画策定に含まれていない。コミュニケーションと称しているが、政府が一方的に決定したことを説明しているだけである。住民を含めた計画策定からやりなおすべきである。


2)線量について

「原発事故発生から4年余りが経過した現在においては、空間放射線量等からは、避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく」
 とあるが、これは誤った認識である。
参考データをみると、平均1mSvを根拠としているようだが、ICRPでは平均ではなく、代表的個人に注目することを強調している。

「ICRP109(25) 緊急時計画は特定の個人よりも集団のグループを防護するために作成されるため,残存線量は計画策定においては一連の代表的個人のそれぞれに対する線量として導出される。代表的個人を特徴づける際のガイダンスは,Publication 101(ICRP, 2006)に提示している。原則として,緊急事態中に被ばくする可能性がある集団は,被ばくおよびその被ばくからのリスクが比較的一様なグループに分けられるべきであり,代表的個人は,これらの各グループに対して特徴づけられるべきである。」

これについては、下記の資料の方がわかりやすい。
「一方、幾何平均をどのように与えるかは、ICRP が Publication 101 Part 110)で新たに 発表した代表的個人の考え方を用いて線量拘束値を遵守するた めの要件と深く関係する。代表的個人とは、集団の中で最も高い被ばくを受 ける人々を代表する線量を受ける仮想的な個人のことである。ICRP は、仮想 的な個人に対する線量を予測する確率論的評価の場合、 仮想的な集団から任 意に抽出された人間が線量拘束値を超える年間実効線量を被ばくす る確率が 5%未満であるように代表的個人を決定するよう勧告している。(日本保健物理学会専門研究会報告書シリーズ Vol.7 No.2 放射線安全の新しいパラダイム検討専門研究会報告書」

平均ではなく、被曝量が多い方に注目し、それらの被曝を回避することを重視している。
これについて参考資料にある「福島県内における個人被ばく線量測定事業の結果概要まとめ」によると個人線量計ですら、1mSV 以上の地点が伊達で26%、二本松でも10%見 られている。

「伊達市「全市民を対象としたガラスバッジ測定(平成24年7月~平成25年6月までの1年間)」
によると、52,783人(全市民のうち、1年間継続して測定した人)の平均で0.89mSvであるが、下記のような分布となっており、事故後3年以上たっても1mSvを上回る方が34%もいる。ICRPは、平均ではなく、このような方々への配慮を勧告している。
 伊達市ですら、この状態であり、空間線量のより高い地域ではこの割合は高くなるだろう。実際、同市の霊山地区では、1mSv 以上の割合が65%へと増加する。
~1 mSv  66.3%
1~2mSv 28.1%
2~3 mSv 4.4%
3~4 mSv 0.9%
4~5 mSv 0.2%
5 mSv以上  0.1%
 避難すべき状態にない、というのは全くの誤りである。

なお、原発従業員を対象とした調査ですら
年間1mSv (個人線量計)の被曝量 で平均10年程度勤務 平均被曝量13mSv
当然大人から。ですら白血病死のリスクが高まることが明確になった
http://www.rea.or.jp/ire/houkoku

子供の場合、リスクはさらにおおきいことは被曝者の分析で明確である。
1mSvを超える地域が多数ある福島への帰還はありえない。

3)体系的な支援、特に移住の支援について

 ICRP109では永久移住、避難の問題点、移住、など幅広く論じているにも係わらず、福島に関しては、除染および帰還の推進を力点とした政策が行われてきた。上述のように線量は避難すべき状態にある。移住への支援も強化するなど、避難者への支援を積極的に行うべきである。

4)前提となる「専門家会議中間とりまとめ」について
 とりまとめには、根本的に重要な点でミスがある。このような重要なミスを犯す専門家の議論に意義があるとは考えにくい。委員を入れ替えて、ただちに新委員会による対応を行うべきである。
とりまとめ p.4 
 「原爆被爆者約12 万人の調査の結果から、100~200mSv(短時間1回の被ばく)よ
り高い被ばく線量では発がんのリスクが増加することが確認されている[6]。それより
低い被ばく線量では、放射線によってがんの発症が増加したとしても、他の要因によ
る発がんの統計的変動に隠れてしまうために放射線による発がんリスクの増加を疫学
的に証明することは難しいとされている[6]。また、遺伝性影響については、疫学調査
において増加したことを示す結果はこれまでに得られていない。(下線引用者)」

 とある。ここで[6]は
[6] United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation 2010. UNSCEAR 2010 Report., UNSCEAR (2011)
 であり、その原文該当箇所は、下記のpargraph 25である。

25. The Committee has used the epidemiological data to examine the relationship between the radiation dose received and the risk of cancer induction, i.e. the dose-response relationship. Excess relative risk is a measure of the size of the increase in cancer risk in the study population due to the radiation at given doses (larger numbers indicate higher risk). The data from the survivors of the atomic bombings in Japan for all solid cancers combined provides the clearest picture of this relationship; this is shown in figure II. The dose-response relationship for mortality at low doses shown in figure II may be described by both a linear and a curvilinear function. Statistically significant elevations in risk are observed at doses of 100 to 200 mGy and above. Epidemiological studies alone are unlikely to be able to identify significant elevations in risk much below these levels. It is a complex process to extract from all informative studies an overall estimate of the lifetime risk of cancer induction from radiation exposure. The Committee has used mathematically based models together with data on the underlying cancer rates in five populations from different regions of the world to address this question, but fully recognizes the uncertainties in these estimates. The Committee’s current estimates for the risks of radiation-induced fatal cancers are shown in table 1; these cancer risk estimates are similar to those previously made by the Committee and other bodies. Risk estimates vary with age, with younger people generally being more sensitive; studies of in utero radiation exposures show that the foetus is particularly sensitive, with elevated risk being detected at doses of 10 mGy and above.

まず、「まとめ」では「発がんのリスク」としているが、原文にあるように「ガンによる死亡mortality」の誤りである。
 さらに、これは同パラグラフのFig.IIを解説したものである。Fig.IIは同図の脚註にあるように、UNSCEAR2006 “Vol. I:EFFECTS OF IONIZING RADIATION : Annex A: Epidemiological studies of radiationand cancer” である。
 被曝者追跡調査は12万人に対して行われているが、この論文では入市被曝者を除き、DS02、DS86線量推定値が得られた86,671人を対象に分析している。よって、原爆被爆者「約8.7万人」を対象とした分析とすべきである。

 ただし、もっとも重要なのは、上記のparagraph 25後半に” 若年層はより影響されやすい(younger people generally being more sensitive)”、”胎児はより影響されやすく、10mSvでもリスク上昇が検出された(foetus is particularly sensitive, with elevated risk being detected at doses of 10 mGy)”とあるにも関わらず、「中間とりまとめ」では、このことが全く無視されていることである。
でもこのことは、下記のように明記されている。
 「第二条 5  被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、子ども(胎児を含む。)が放射線による健康への影響を受けやすいことを踏まえ、その健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期することを含め、子ども及び妊婦に対して特別の配慮がなされなければならない。」

 このとりまとめでは、この理念も無視されている。なお、その後、UNSCEARは2013年に子供への影響に関する報告書を提出している(UNSCEAR, 2013)。科学の手続きによれば、より新しい知見を引用するべきである。

 このような重要なミスを犯す専門家の議論に意義があるとは考えにくく、それにもとづく政策案も意味のないものとなっている。委員を入れ替えて、ただちに新委員会による対応を行うべきである。



2. 細かい点

「しかし、原発事故発生から4年余りが経過し、原子力災害被災地でも復旧が進 み、復興に向けた将来像が描かれようとしている。一方、依然として多くの被 災者が、応急仮設住宅での避難生活を続けており、あくまでも避難に伴う仮住 まいでの一時的な生活の継続は、先行きが見通せず、被災者にとって大きな負 担になっている。」
→仮設住宅ではなく新たな居住地を提供すれば、このような問題は解消する


「法第2条は、被災者が、自らの意思によって福島県等において避難せずに居住 を続ける場合、他の地域へ移動して生活する場合、移動前の地域へ再び居住す る場合のいずれを選択した場合であっても適切に支援するとともに、外部被ば く及び内部被ばくに伴う健康不安の早期解消に最大限の努力をすることを要請 している。」
→「他の地域へ移動して生活する場合」についても、帰還を望まないものに対して は土地の買い上げなど、移住の支援を行うべきである。


 「Ⅲ 被災者生活支援等施策に関する基本的な事項
災害救助法(昭和22年法律第118号)に基づく応急仮設住宅の提供は、住家を 一時的に失った被災者への仮住まいの現物支給であり、その提供期限は原則2 年とされている。」
→通常の災害と異なり、放射線は2年や4年経過しても消えることはない。さらなる延長も しくは土地家屋の買い上げなどによる移住支援を積極的に行うべきである。


「現在の支援対象地域内の空間放射線量は、原子力規制庁が実施している航空機 モニタリング結果に基づき推計した外部被ばく線量によると、原発事故発生時 と比べ、大幅に低減しており、生活圏として既に年間1~20ミリシーベルトの 線量域の下方部分にあり、各市町村で実施している個人被ばく線量の測定(支 援対象地域内での実施12市町村の直近の各平均は、既に年間1ミリシーベルト 以下)、福島県が実施しているホールボディ・カウンタ検査、厚生労働省等が 実施している食品検査等からは、「長期目標」をも満たしつつある。
→上述のとおり不適切な記述。避難が必要な方々が多く居住と書き換え。



「これを受け、事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進、福島県及び福 島近隣県における疾病罹患動向の把握、福島県の県民健康調査「甲状腺検査」 の充実、リスクコミュニケーション事業の継続・充実に取り組むこととする。」
→甲状腺、線量など、分析能力に著しい問題がある。この体制で行うことはむりで あり、プライバシーを保護しつつ、専門家へのデータの公開を促進すべきである。


「その他、汚染の状況についての調査、除染の継続的かつ迅速な実施、支援対象 地域で生活する被災者への支援、支援対象地域以外の地域で生活する被災者へ の支援、支援対象地域以外の地域から帰還する被災者への支援、避難指示区域 から避難している被災者への支援等に関し、被災者が、いずれの地域かにかか わらず、自ら居を定め、安心して自立した生活ができるよう、法の趣旨に沿って、定住支援に重点を置きつつ、地方創生分野の取組など各施策 も活用しながら、引き続き必要な施策を行っていく。」
→除染よりも移住希望者への支援を行うべきである。


「Ⅳ その他被災者生活支援等施策の推進に関する重要事項
被災者が具体的な施策について把握できるようにするため、関係省庁の各施策 の概要、対象地域等を記した資料を別途取りまとめ、公表する。本基本方針は、必要に応じて見直す。その際、被災者等の意見を適切に反映す る観点から、被災者を支援する民間団体等とも連携する。」
上述のように 住民というもっとも重要なステークホルダーが計画策定に含まれていない。避難住民を含めて意思決定を行うべきである。

 専門家中間取りまとめによれば、
「今般の原発事故ではこれまで確定的影響(組織反応)の発生は確認されてお らず、放射線被ばくによる生物学的影響については主にがんについて検討する 必要がある。(中略)
→この中間とりまとめには以下の問題があり、参考にならない。

 例えばUNSCEAR 福島レポート(日本語版)では次のようなリスクの可能性が指摘されている。
「221. 上記のとおりであるにしても、これまでの経験では、特定の集団(特に胎 児としての被ばく後、あ るいは乳幼児期・小児期の被ばく後)における特定の がんの相対リスクは集団の平均よりも高くなる。」
「222. 甲状腺がんについて 上限に近い甲状腺吸収線量では、充分に大きな集団において識 別可能な甲状 腺がんの発生率上昇をもたらす可能性がある。幼少期および小児期により高い 甲状腺 線量に被ばくした人々の間で甲状腺がん発生率が上昇するかどうかを 見極めるという点に関して本委 員会が確固たる結論を導くには、線量分布に 関する情報が充分ではなかった。」
 リスクがないとはいっていない。



2015年5月14日木曜日

福島県甲状腺検査についての分析3

福島県甲状腺検査についての分析3

 その後、2013年までのデータを用いた分析を岩波「科学」2015年6月号に公表した。それに関する補足などを行う予定のページ。

・図について
 凡例の色について、2012年と2013年で入れ替わっていました。申し訳ありません。
 正しくは、○2012年 誤:青→正:黒、△2013誤:黒→正:青。下記が正しいもの(右上の凡例の○と△の色が入れ替わっただけです)。

・以下補足情報など

・p.586
 「福島および3県調査と他の研究を比べると、結節の割合が低く、嚢胞の割合が高いという特徴がある。これは定義の差なのか、対象者の検査時年齢や検査機器の違いによるのか、筆者にはわかりかねるところである。」→放影研の関係者に質問したところ、他の研究でいうsolid nodule=福島および3県調査でのnoduleが同じ定義。福島、3県で嚢胞の割合が高いのは、通常は無視する5mm以下のものも拾っているからではないかとのこと。

・スクリーニング効果について
 (チェルノブイリと比較するならば)機器の性能向上、受診者増加の2つの要因を考慮する必要がある。前者については表にまとめたように、機器は明かなので、ベンチマーク画像で識別可能な結節のサイズを比較するといったことがされていれば可能であろう。→Hayashida et al.(2012)の著者、およびメーカー(アロカ)に問い合わせたところ、そのようなデータはないとのこと。
 表1のHayashida et al.(2012)は、Panasyuk et al.(1997)と同じ対象者をフォローした研究。アロカSSD630が二時点で利用されており、1997年はそれとSSD520という古い機種、2012では東芝SSA580という新しい機種と併用されている。現時点で同じ人を二つの機器で測定して性能比較することは可能。
 各個人がどの機器で測定されたのかがわかるはずなので、その情報+経時的な変化は成長曲線モデルなどによって補足するなどすれば、状況によっては、機器の性能の差を比較できる可能性はある。
→著者に問い合わせたが、そのような測定、分析をする予定なし。

・表1 福島と3県調査
 検査にもちいるプローブの周波数が福島(1次:11Mhz、2次:18MHz)、3県(1次:7.75MHz)と異なるが、診断結果には差はないはずとのこと。




・他の線量を用いた分析について
 下の1)福島県甲状腺検査関連を参照。

2015/11/21 追記
・ICRR2015京都 ポスター報告
 コメントA 「人口の少ないところの結果に引っ張られているとか、交絡があるのでは?」→「割合そのものを被説明変数とするのではなく、症例数とし、検査数をオフセットにしているので、その可能性はないはず。また、浪江など端のものをいくつか除去しても、有意になる。」
→「交絡要因があれば教えて頂きたいのですが。」→返答なし。
 同じ方 「線量については、避難中に汚染した食物を食べた可能性がある。避難中に食べさせてもらったという立場上、それを正直に回答できない可能性もある。それを回答してもらうには、日頃から現地入りして信頼を得てからでないと難しい。」→地道な活動、頭が下がります。

 コメントB 「UNSCEARの線量と実測には乖離があるので、あまり意味がないのでは?」→「専門家もそれなりに妥当だと認めているのですが。先生は内部に近い方なので、ケース=コントロールなど個人レベルでの分析などをしてみてください。」

・JMELODI2015 ポスター報告
 コメントA 「2011年については、きれいに線形がみえていますね。飯舘などは、避難が遅れたので食物から結構摂取した可能性もあるので、このグラフより右寄りになる。そうするとより線形性が強まる。まあ、今となっては測定は困難ですが。」

 コメントB「私は○○学者で、このような数字あそびは嫌い。福島で頑張っている人に、どういうメッセージがあるのですか。」→私はあくまで分析者として中立的な立場で、私に比較優位のあることをしているだけです。 

・IAEAのインデックスに収録されたようだ。

参考ページ

1)福島県甲状腺検査関連
・このブログの関連トピック




2015年4月19日日曜日


総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会
発電コスト検証ワーキンググループ への 情報提供

発電コスト検証ワーキンググループに対する情報提供はこちら から3通に分けて提供したもの。

 これらへの対応は下記に示されているが、特に、「III.高経年化によるリスク、コスト増大」については、明らかに趣旨を理解していない。
「発電コスト検証ワーキンググループへの情報提供に対する対応について」(PDF形式:278KB)

 下記によると、これ以降の意見は考慮しないとあるが、再度、情報提供する予定である。
「発電コスト検証に当たっての情報提供依頼受付期間について(案)」(PDF形式:170KB)



I.火力のシナリオ
 
1)対象部分
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員 会 発電コスト検証ワーキンググループ 資料 

火力発電所
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/002/pdf/002_08.pdf


石炭火力発電所 熱効率:42%
LNG火力発電所 モデルプラント規模:140万kW 熱効率:52%等
など低めの値が想定されていますが、下記のようにより高いものが運用されて います。

2)根拠
(1)石炭火力発電所
IGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle)石炭ガス化複合発電

勿来発電所
http://www.joban-power.co.jp/nakoso_power_plant/igcc/
(株)クリーンコールパワー研究所(CCP)が、実証機による運転試験を 2007(平成19)年から2013(平成25)年3月まで行い、4月から当社が設備を引 き継ぎ商用設備(10号機)として運転をしています。

石炭火力の発電効率約42%に対して商用段階IGCCでは48~50%の発電効率が見 込まれます。
http://www.joban-power.co.jp/igccdata/igcc/dimension.html

(2) LNG火力発電所
熱効率:52% とあるが、下記によれば 約60%である。 これによって CO2排出原単位 も0.470kg-CO2/kWh→0.327kg-CO2/kWh
と低下している。

関西電力
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2013/0827_1j.html
姫路第二発電所新1号機の営業運転開始について
コンバインドサイクル発電方式


(3)工期、シナリオなど
 なお、姫路第二発電所については3年で更新工事が行われた。
<姫路第二発電所新1号機 設備更新工事の工程>
平成22年 7月 1日 設備更新工事(1~6号機)本格着工
平成24年11月15日 試運転における発電開始
平成25年 8月27日 営業運転開始

さらに 下記では
 東北電力  八戸火力発電所5号機 燃料転換に関わる試運転(発電開始)について
http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1189271_1049.html

 早期に供給力を確保するために、シンプルサイクル方式(燃料:軽油、出 力:27.4万キロワット)のガスタービン発電設備を採用し、平成24年7 月に営業運転を開始いたしました。
 その後、環境負荷を低減する観点から、排熱回収ボイラー、蒸気タービンお よび発電機等を追加設置し、コンバインドサイクル方式(燃料:軽油、出 力:39.4万キロワット)として平成26年8月に営業運転を開始いたしま した。

 また、同5号機は、さらなる環境負荷低減および経済性向上を目指し、燃料 を軽油からLNGへ転換するための工事を平成25年10月から開始しまし た。これまでにJX日鉱日石エネルギー株式会社(以下、JX)の八戸LNG ターミナルよりLNGの供給を受けるための「燃料ガス配管」の敷設や、ガス タービンに送るLNGを予め加熱する「燃料ガス加熱器」の設置等を行ってま いりました。
 このたびの燃料転換により、出力は39.4万キロワットから41.6万キ ロワットに、発電効率を示す熱効率は49パーセントから約55パーセントに 上昇し、発電電力量あたりの二酸化炭素排出量の削減などができる見通しです。
------- 引用おわり
のように、運転しながらの改修も可能となっている。


3)考慮すべき点
 これら火力発電所は既存火力の更新、もしくは工場跡地などへの立地も比較 的容易である。
 例えば神戸製鋼火力発電所は神戸市内に立地している。
   http://www.kobelco.co.jp/ipp_project/

 これによって、地域への熱供給も行い、それも含めたコジェネレーションとしt ねの熱効率は80%程度に達するとされる。
  http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/other/2_7A1.pdf

 このように電気のみならず熱なども含めた視点でエネルギー収支、コストを 勘案すべきである。 都市部に立地できるので、送配電ロスも低下する。

この他、
 上記のIGCCのページにあるように
 利用炭種の拡大、大気環境特性、 スラグの有効利用
といった面でのコスト低下も考慮すべきである。
http://www.joban-power.co.jp/igccdata/igcc/dimension.html


4)まとめ
 2030年にむけて即座に全老朽火力を更新することをシナリオに入れるべきで ある。
 熱効率も下記のように改訂 これにともない燃料費も低下するはずである。
石炭火力発電所 熱効率:42%  →48%
LNG火力発電所 熱効率:52%等  →60%

 さらに、電気のみならず熱も考慮したエネルギー全体での収支、コストを勘案 する。
 熱効率40%の火力を60%にすべて置き換えれば、熱効率30%の原発なしでも、 2010年レベルの燃料費、C02排出量も維持もしくは低減できるはずである。


II.高速増殖炉について
1)対象部分
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員 会 発電コスト検証ワーキンググループ 資料 

第3回 平成27年3月26日(木)
原子力発電
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/003/pdf/003_05.pdf

【政策経費】

軽水炉の発電コストなのに、(発電形式が異なる)高速増殖炉の研究開発まで計 上しているのは 違和感がある。

とあるが、

原子炉設置許可申請書では

 7 原子炉に燃料として使用する核燃料物質の種類 及びその年間予定使用量
 8 使用済み燃料の処分の方法
が記載され、許可の対象となっている。
 高速増殖炉は軽水炉で発生したプルトニウムを増殖させることを期待して開 発されたものであり、核燃料サイクルの中核を担うものと期待されてきた。

例えば 文科省 H13 科学技術白書
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200101/hpab200101_2_212.html

 2014 エネルギー基本計画では、さらに長期核種の変換による使用済み燃料 の処理を目指した開発へと強調点が変更された。
 なお、このような変換は、ターゲット核種の抽出という使用済み燃料の高度な 処理が前提となっていること、エネルギー収支からみてもコスト的にあわない ことは自明である。無駄な研究開発費と言わざるを得ない。
http://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140411001/20140411001.html

 これらはいずれも軽水炉を運用するために必要な研究開発費であり、計上す ることは当然である。

 なお、
長期エネルギー需給見通し小委員会第4回資料 
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/
ドイツから何を学ぶか
 については、
「再生可能エネルギーは必ず火力のバックアップが要る」
という珍妙な説が提案されている。
 この論理であれば、長期の定期点検が必要な原発、渇水期のある水力、いずれ についても、他の電源がバックアップとして必要となる。無意味な議論である。


III.高経年化によるリスク、コスト増大
1 総論
 安全対策をおこなっているので事故の発生確率を低く見積もるべきであると いう議論があったようである。
 残念ながら、過去の実態をみると点検およびその結果として対応をおこなっ てきたはずだが、故障は増加している。

2 論拠
1)戒能 一成(2009)「原子力発電所稼働率・トラブル発生率に関する日米比較 分析」 RIETI-Discussion Paper 09-J-035
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/09j035.pdf


[図3-2-1-2.,-3 総対処可能トラブル発生率推移比較- 型式別、- 沸騰水型
(BWR)・高年式]
は沸騰水型(BWR )・高年式の時系列での総対処可能トラブル発生率を集計して
いる。それによると、1999年には2件/年・基であったが、ほぼ線形に増加し、 2008年には8.5件/年・基に達している。この間、米国では8件/年・基から4件 /年・基に減少していることと大きな対比をなしている。
 同様に、図3-2-1-4.には低年式BWRについても集計しているが、1.2件/年・ 基から4件/年・基程度に増加している。
 
同様に加圧水型についても、
「1999-2003年と2004-2008年の発生率を比較した場合、日本では1.9件/年・
基から2.3件/年・基と微増であるが、米国では4.2件/年・基から2.6件/年・基 に減少している。」としている。

 これら原発は、定期点検を行い、問題があれば対応をしてきたはずである。 それにも関わらず、老朽化とともにトラブルは増加しており、安全対策によっ てもこれを低下させることは極めて困難といえる。
 よって、コスト評価に際しては、老朽化による事故リスクの増大=ここでの 例だとBWRでは10年で4倍、PWRでも同1.2倍に増加することを考慮すべきである。
 なお、この論文での分析対象期間は、初期不良が多発した時期を除いた比較的 安定した時期であることにも注意が必要である。今後の老朽化によって、この数 字はさらに高くなることが想定される。


2)事故として報告されない事象の考慮
 2009年5月 有限責任中間法人 日本原子力技術協会
 故障件数の不確実さを考慮した 国内一般機器故障率の推定
http://www.nucia.jp/jfiles/reliability/REPORT200905.pdf

 においては、 16年間のデータと21年間のデータを用いた場合BWR、PWRともに後 者の方がCDF が大きくなることが示されている。これは長期の運転による故障の 増加を反映 したものである(p.144)。

さらに、  表3-1 データ収集確率の確率分布の設定に用いるデータ  によると、
故障の候補となる事象数 513件に対して 故障と判定しカウントされた故障件数は 201件に過ぎないとされている。
つまり、全体の故障候補事象の39%しか 故障として報告されていないわけである。これを踏まえると、これまでのPRAのリスク評価を1/0.39=2.5倍に評価すべ きである。

 なお、この報告書や下記の報告書では故障はポアソン分布にしたがい、そのパ ラメータは時間一定であるとされている。
 これは故障の発生状況からみるとあきらかに誤りであり、初期に増大、中期に 安定、老朽化すると増加するというモデルで推定し直すべきである。

平成26年11月  
PRA 用パラメータ専門家会議
PRA 用パラメータの推定手法に関する 検討報告書
http://www.genanshin.jp/archive/praparameterstudy/data/JANSI-SPE-01.pdf

 ついでに、
NRC Handbook of Parameter Estimation for Probabilistic Risk Assessment (NUREG/CR-6823, SAND2003-3348P)
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/nuregs/contract/cr6823/
 では故障率のパラメータλが時間依存するモデルも推定しているが、80年代の 時間と共に故障が減少した部分のみのデータを用いており、故障数が従うと考 えられるバスタブモデルに添ったものではないことに注意が必要である。


3.結論
 これらは大小のトラブルを考慮したものであり、大事故にはつながるもので はないと考えるかもしれない。しかし、TMIでも弁の固着、インジケーターの見過 ごしという細かいトラブルが事故につながった。
 以上より、安全対策をおこなったからといってトラブルが減少するとは考え られない。上述のように、故障と認識されない問題が2.5倍はあること、さらに時 間と共に10年で2倍以上にトラブルが増加することを踏まえたリスク、コスト評 価をすべきである。

 以上
原子力災害対策指針(改定原案)及び原子力災害対策特別措置法に基づき原子力防災管理者が通報すべき事象等に関する規則の一部を改正する規則(案)に対する意見募集について へのパブコメ

 数回に分けて送信。それをまとめたもの。半角の。などは受け付けられないので英数字など一括して全角に変換してある。

1.総論
 今回の規則は1)福島事故での反省もなく、2)予測を行わず、3)30km以遠の者には避難もさせず、4)実効的な避難手段確保も義務づけず、5)避難計画などについて住民の民意を反映させるプロセスも考慮されていないものである。そもそも、原発稼働は世界最高の安全対策を前提としたものである。
 このような改訂は住民の被曝リスクを高めるのみであり、ただちに原発稼働をあきらめるか、この案を廃棄し、はじめから検討し直すべきである。


2.各論
 以下、指摘対象を赤字、その修正意見と理由を示す。

(ハ)プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA:Plume Protection Planning Area)の検討
 →削除されているが、残すべきである。
理由

 関連資料である 「UPZ外の防護対策について(平成27年3月4日原子力規制庁)」
 p.3 「このため、重点区域外に拡張された防護範囲で実施される屋内退避は、放出された放射性物質が当該範囲内を通過するときに受ける影響を回避するために臨時に実施される緊急防護措置であることを踏まえて、緊急時モニタリング結果等により放射性物質が当該範囲外へ通過したと判断されたときは、速やかにこの屋内退避の指示を解除することが合理的である。」
 とあるが、健康な者にとっては予防的処置によって、避難させることがもっとも効果的な防護策であり、屋内退避をさせることは被曝リスクを高めることにしかならない。このことは特に木造住宅の多い日本においてはなおさらである。
 さらに、福島原発では少なくとも3/15、3/21の二回にわたってプルームが通過した。このように長期間、屋内避難させることは非現実的である。実際、ICRP109でも「 (B5) 屋内退避は,2 日程度より長い期間は推奨されない(IAEA, 1994, 1996, 2006)。屋内退避は容易に実行できるが,ほとんどの場合,長期にわたって実行することはできない (B5)」
とされている。

 なお、緊急時モニタリングが行われることを前提としているが、それが十分に行われなかった福島の経験を無視している。


 緊急時モニタリングセンター
 「モニタリング情報については、リアルタイムで公開することとする。」を明示すべきである。
理由
 福島災害では、Speediの予測、各種モニタリングデータなどの公開が遅れた。このため、防護措置が不十分となっただけでなく、政府などへの不信も生まれた。それを回避するために、計測値については人手を介さず、測定値そのものを公開すべきである。
 このような仕組みは原発近辺でのMPデータ公開で既に行われており、容易に実現可能である。


 緊急時モニタリングの実施体制の整備等
解析及び評価し、その結果を迅速に公表するための体制を整備する。緊急時モニタリング
結果の解析・評価においては気象データや大気中拡散解析の結果を参
考にする。そのため、国、地方公共団体及び原子力事業者はその解釈
の仕方について地域の特性に応じて事前に整理しておくことが重要
である。

 は残し、不確実性があるが予防原則の観点から、ソースタームはINES7レベルを仮定して予測することとすべきである。

理由
 関連資料である 「UPZ外の防護対策について(平成27年3月4日原子力規制庁)」では、
p.2 「重大事故の発生を仮定した場合、放出源からの距離が近い区域では、放出される放射性物質による影響は最も重大なものとなる一方で、その影響は放出源からの距離に応じて減少する。したがって、敷地近傍の区域では緊急時に直ちに防護措置を実施できるよう、あらかじめ手厚い原子力災害対策を用意し、遠方の区域では状況に応じて弾力的
な対応をとることができる原子力災害対策を用意することが合理的である。」
 これはまったくの誤りである。福島での4ヶ月間の外部被曝量は、距離の近い「いわき市」で1.0mSvであるのに対して、飯舘村では4.0mSv,福島市でも1.7mSvとなっている (福島県県民健康調査 基本調査 市町村別の線量分布より算出→「第18回検討委員会 資料1 『基本調査』の実施状況について」)。このことは、公開されたSpeediやモニタリングの結果からも明らかである。


 単に距離で避難などの対応を考慮したことによって、福島原発から北西部地域住民に多大な被曝量をさせたことを反省すべきである。これを回避するには、風向の把握などによる事前の予測 Speediのようなものの利用が必要である。なお、Source termなど即座に利用可能な情報が得られない場合でも、防護的観点からINES7レベルの漏出があったことを想定し、予測することが妥当である。


(2)異常事態の把握及び緊急事態応急対策

・原子力施設から著しく異常な水準で放射性物質が放出され、又
はそのおそれがある場合には、施設の状況や放射性物質の放出
状況を踏まえ、必要に応じて予防的防護措置を実施した範囲以
外においても屋内退避を実施する。

→前述のとおり「避難」を実施するとすべきである。なお、「著しく異常な水準」のようなあいまいな言葉ではなく、10条もしくは15条通報基準を基準として設定すべきである。


 線量率等の値に基づくSPEEDIのような大気中拡散シミュレー
ションを活用した逆推定の手法等により、可能な範囲で放射性物質の
放出状況の推定を行う。また、原子力事故の拡大を抑えるために講じ
られる措置のうち、周辺環境に影響を与えるような大気中への放射性
物質の放出を伴うものを実施する際には、気象予測や大気中拡散予測
の結果を住民等の避難の参考情報とする。
→削除せず残すべきである。
理由 上述の通り。


② 緊急時モニタリング実施計画の策定等
、気象予測や大気中拡散予測の結果をモニ
タリング実施体制の整備の参考にすることも考慮する。
 →変更せず、このまま残すこと。
理由 上述の通り。

④ 緊急時モニタリングの結果
 、一元的に解析・評価して、
 →変更せず、このまま残すこと。
理由 上述の通り。

また、国は、集約及び共有した緊急時モニタリング結果を分かりやすく、かつ迅速に
公表する。
→国や自治体は、緊急時モニタリングの生データを加工することなく、リアルタイムデ公開する。
 とする。
理由 上述の通り。


第6 今後、原子力規制委員会で検討を行うべき課題
下記の項目を追加すべきである。

・住民投票による承認
 地域防災計画の策定、承認について地域住民の住民投票を行い、その半数以上の賛同を得られなければ、原子力発電所の稼働は認めないこととする。
 理由
 福島の経験から明かなように、原発災害は立地市町村のみならず、60km圏以遠に及ぶ。福島原発以上の事故が生じる可能性も想定し、全量排出された場合の被害範囲を推定し、その範囲に立地する市町村での住民投票による民意の反映を行うべきである。

・実効性のある計画、体制の構築
 計画のみならず、道路の通行可能量、輸送手段の確保などを確実に行うことを少なくともPAZ地域内の市町村には義務づける。これが達成できない場合には、原子力関連設備の稼働は認めないこととする。

 理由
 福島では渋滞によって、避難が遅れた。また、川内原発では新幹線で避難する、浜岡原発では高速道路などには損傷がなくこれを利用して避難する、大飯原発では非常要員は海からアクセス、といった計画が立案されている。このような実効性のないものではなく、実行可能な道路、交通手段を通常から確保することを義務づけなければ、住民の被曝を回避できない。
 なお、当然ながらこれらにかかるコストは原発の稼働コストに加算するものとする。

・世界最高水準の安全対策の実施を前提とした稼働
 安倍氏がスピーチしたように世界最高の安全を確認したものしか稼働させないことを明示すべきである。

理由
 参考資料では、「IAEAの安全基準が示すフレームワークでは、放射性物質の放出の前に施設の状況に基づいて予防的な緊急防護措置を実施し」のようにIAEAに準拠しているが、日本は世界最高の安全対策をめざしているのであり、IAEAがしていないことも含めた厳しい安全基準を設定すべきである。これを満たさなければ稼働させないことを明示すべきである。

・責任の所在の明示
 すべての責任は事業者が負うことを明示すべきである。

理由
 福島事故では本来、事業者が責任を負うべきであるにも関わらず、費用も国民の税金から負担させ、されに当時の社長以下、何の責任も果たしていない。国や自治体、旧安全委委員会についても同様である。これがいい加減な対策の温床となっている。責任を明示すべきである。

3.総括
 福島原発災害では、規制側の甘さ、事業者による規制や基準設定への介入、モニタリング体制の不備、メルトダウンの可能性をはじめとする不十分な情報公開、体表面スクリーニングのいい加減な基準緩和、同じく労働者の250mSv引き上げ基準、小学校での20mSv基準、甲状腺スクリーニングの1000名打ち切りなど、極めて不透明な対応がされてきた。それらの原因も解明されず、これにともなって責任もとられていない。
 総論で述べたように、この規則はあまりにも無責任である。ただちに福島災害の原因解明から議論をやり直すべきである。


2015年2月4日水曜日

福島国際医療科学センター 放散線医学県民健康管理センター にメール 備忘(誤字などは修正)
 
http://fukushima-mimamori.jp

県民健康調査について



いつもお世話になります。濱岡@慶応商学部です。
下記の質問、および意見について対応、検討をよろしくお願いします。

1)4地域比較
 市町村レベルのデータを4地域に集計していますが、中通りについ
ては、2013-14の2年間にわけて検査されています。
 平均年齢はまるまる1年+高校3年生が進学して補足しづらくなる分 だけ差が生じています。
 このような集計は不適切です。少なくとも市町村レベル そのものでの分析をすべきです。

2)ケースコントロール分析の実施
 (線量推計できた方のみでも)ガンのみつかった方とそうでない方のケースコントロール分析をするべきですが、なぜしないのでしょうか。

3)基本調査
 4ヶ月未満を4ヶ月としていた件、特に飯舘が大きく変化しましたが、その後の修正や公開の予定はどうなっているのでしょうか。

 外部線量推計に使われている放医研の論文では、18シナリオ毎に推計されていますが、それは代表性のあるものではありません。UNSCEARの報告書でもこのシナリオが使われており、基本調査でとられている避難経路について、主要なものについてだけでも、回答者の割合を公開すべきだと考えます。

 基本調査について、市町村別には線量分布しか示されていません。年齢層別被曝量、もしくは回答者年齢層、もしくは平均年齢についても公開が必要です。

4)基本調査で得られている線量分布の「代表性」に関する調査(案)
 「同じ地域でも未回答者と既回答者との間で線量の分布に違いがないか、あるとすれば、どの程度であるかを調査する。」

 とあり、新たな調査をするとのことですが、その前に下記のような分析をすべきです。
 回答者の住所、地点別の線量もしくは土壌汚染度はわかっているはずなので、それとの関連を分析する方がよいでしょう。

住民基本台帳は原則閲覧できませんが、
統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究のうち公益性が高いと認められるもの
 に該当するので、住民基本台帳の閲覧=氏名、生年月日、性別 は閲覧可能です。それを用いて 回答者、非回答者の比較をするべきでしょう。

 個人レベルでの分析が面倒ならば、地域メッシュ統計データ、もしくは国勢調査ならば小学校区レベルでの集計データは公開されているので、基本調査を同レベルで集計して比較することは可能です。

 これをした上で、必要ならば新たな調査をすべきです。

 ちなみに、ランダムサンプリングするのであれば、4000名のうち基本調査無回答者はその75%の3000件程度。すべて回答して頂いたとしても、回答率の向上への寄与は3000/2000000=0.15%程度です。
 また、県外などに避難された方についてはどうするか、などの問題もあります。


5)先行調査と本格調査
 どのように分析するのでしょうか。
 私であれば、マルチステート分析をしますが、そのためには個票データが必要です。匿名化したデータの研究者向け公開をすべきだと考えます。

必要ならばお手伝いしますよ。

以上よろしくお願いします。