食品の基準値導出について(pdf) へのコメント→下に問い合わせた結果も追加
1)パラメータの設定について
安全側に評価するとして、核種の存在比率については最大値を用いている。これについては評価したい。一方、土壌から農作物への移行係数(作物別)については、複数の作物がある場合には、「幾何平均」が用いられている(同pdf、p.5)。脚注にあるように、作物別の移行係数にはばらつきがおおきく、対数をとらないと正規分布にならないためである。
この係数は、摂取量に重み付けられるが、穀物なども含む食料の大部分を含むものであり、幾何平均ではなく、最大値、中央値、幾何平均など、用いる値によって結果が大きくかわる可能性が高い。少なくとも、資料には下表に示されている程度の統計量を表示すべきである。
出所)落合透, 武田聖司, & 木村英雄. 2009..生物圏評価のための土壌から農作物への 移行係数に関するデータベース 日本原子力研究開発機構
2)感度分析の必要性
このようにパラメータの不確実性がある場合には、それらの値を変更したときにアウトプットがどの程度変化するのかを調べるべきである。このような作業は「感度分析」と呼ばれる。
パラメータの明示、それらを変化させたときの最大のリスクを明示した上でリスクもしくは基準値を決定すべきである。
蛇足?)パラメータの算出について
核種の対Cs137濃度比については、下記のような図が掲載されている。測定値を用いてその「傾き」から推定しているようにみえる。図にみられるようにこれらについては、あきらかに回帰モデルとしては不適切(最小二乗になっていなさそう)である。が、本文を読むと、比が最大になるものを用いたとあるので、回帰分析の結果ではなく、比が最大になる点のデータを用いているのだろう。
そうであれば、このような直線は不要である。いったい何を意味する直線なのだろうか?
1)パラメータの設定について
安全側に評価するとして、核種の存在比率については最大値を用いている。これについては評価したい。一方、土壌から農作物への移行係数(作物別)については、複数の作物がある場合には、「幾何平均」が用いられている(同pdf、p.5)。脚注にあるように、作物別の移行係数にはばらつきがおおきく、対数をとらないと正規分布にならないためである。
上記資料で引用されている放医研などのデータは発見できなかったが、旧原研の生物圏評価のための土壌から農作物への 移行係数に関するデータベース によると、Cs-コメの移行係数は196のデータがあり、最小で4e-5,最大で4.8e-1まで10000倍オーダーのばらつきがある(同,Table I-1)。このような場合には、幾何平均を用いると、リスクを過小評価する可能性が高くなる。最大リスクを想定するのであれば、最大値を用いる方が適切である。
この係数は、摂取量に重み付けられるが、穀物なども含む食料の大部分を含むものであり、幾何平均ではなく、最大値、中央値、幾何平均など、用いる値によって結果が大きくかわる可能性が高い。少なくとも、資料には下表に示されている程度の統計量を表示すべきである。
出所)落合透, 武田聖司, & 木村英雄. 2009..生物圏評価のための土壌から農作物への 移行係数に関するデータベース 日本原子力研究開発機構
2)感度分析の必要性
このようにパラメータの不確実性がある場合には、それらの値を変更したときにアウトプットがどの程度変化するのかを調べるべきである。このような作業は「感度分析」と呼ばれる。
パラメータの明示、それらを変化させたときの最大のリスクを明示した上でリスクもしくは基準値を決定すべきである。
蛇足?)パラメータの算出について
核種の対Cs137濃度比については、下記のような図が掲載されている。測定値を用いてその「傾き」から推定しているようにみえる。図にみられるようにこれらについては、あきらかに回帰モデルとしては不適切(最小二乗になっていなさそう)である。が、本文を読むと、比が最大になるものを用いたとあるので、回帰分析の結果ではなく、比が最大になる点のデータを用いているのだろう。
そうであれば、このような直線は不要である。いったい何を意味する直線なのだろうか?
出所)食品の基準値導出について(pdf)
追加)上記2点について担当者に問い合わせ。幾何平均について、文章からは上記のように解釈したが、担当者はその文章の上の4つの機関の最大値をというのもかかる=個別作物ごとには4機関のうち最大値を用いる。それを大分類にくくるときに幾何平均した。と解釈しているよう。感度分析したのか、あわせて確認依頼中。
いずれにしてもパラメータの基本になる情報は明示すべきである。
問い合わせへの返答) 私の記憶の中なので趣旨。
(担当課員) 担当した委員に確認したところ、ばらつきが大きいので確かに最大値を用いると大きな値になる可能性もある。そのため、幾何平均を用いている。それはよく用いられている妥当な方法である。
感度分析はたしかに重要だが、パラメタが多数あるので、するかしないか検討が必要。
10倍ぐらい値を振ってみたが規制値には大きな影響はなかった。
(私)重要な問題なのでそのエクセルシートの公開が必要なのではないか。
(担当課員)そのとおりであるが、公開はしていない。
感度分析の必要性などについても検討したい。
(私)具体的に検討するとしたらいつになるか?
(担当課員)検討したい。
ということであった。移行係数は上にあるように10^4オーダーの違いがあるので、10倍では不十分であるが、自前ですべて計算するのはなんなので、どうするかな。
1)パラメータの設定の続き
同pdfの図1では土壌から農作物への移行しか考えていないが、大気中から直接表面に付着する。といった経路も無視できないはず。
さらに、内部被曝線量係数(同pdf p.22 下に引用)は放射性物質の量を身体への影響に換算する重要な係数。ICRP72の値を使っている。年齢別だが男女別には値が設定されていない。
被爆者データの固形ガン死亡率データ(Preston et al. 2003)では、30代での被爆者と比べると10代未満のリスク(ERR)は2.5倍になる。また、全体平均では0.47だが、男女別では女性の方が高くなる。しかし下記にあるように、男女別の値も設定していない。また年齢別にみても子供のリスクが過小評価されているようにみえる。
(ICRP72ではもしかするとリスクの高い女性を想定しているのかもしれない。また、体内を要素に分割していじいじして計算するよう。これらは要確認)。
いずれにしても、重要な問題なのでデータシートは公開してもらいたい。
出所)食品の基準値導出について(pdf) p.22